進行した悪性黒色腫に対して、ペムブロリズマブとイピリムマブを比較
進行した悪性黒色腫がある患者834人が対象となりました。対象者はランダムに、2週ごとにペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ®)を使うグループ、3週ごとにペムブロリズマブを使うグループ、3週ごとにイピリムマブ(商品名ヤーボイ®)を使うグループに分けられ、治療を受けました。
12か月生存率がペムブロリズマブで改善
次の結果が得られました。
12か月生存率の推定値は2週ごとのペムブロリズマブ群で74.1%、3週ごとのペムブロリズマブ群で68.4%、イピリムマブ群で58.2%(死亡のハザード比が2週ごとのペムブロリズマブについて0.63、95%信頼区間0.47-0.83、P=0.0005、3週ごとのペムブロリズマブについて0.69、95%信頼区間0.52-0.90、P=0.0036)だった。
重症度がグレード3から5の治療関連有害事象はペムブロリズマブ群のほうがイピリムマブ群(19.9%)よりも低かった(13.3%と10.1%)。
治療開始から12か月での生存率が、2週ごとにペムブロリズマブを使ったグループで74%と、イピリムマブを使ったグループでの58%よりも高くなりました。重要な副作用はペムブロリズマブのほうがイピリムマブよりも少なくなりました。
ペムブロリズマブはアメリカではすでに悪性黒色腫と肺がんの一部について承認されています(2015年10月時点)。日本で承認されている免疫チェックポイント阻害薬にはイピリムマブのほかニボルマブ(商品名オプジーボ®)もあり、悪性黒色腫を含め、ほかの種類のがんにも使える可能性が最近検討されています。
訂正10/29
pembrolizumabを「ペンブロリズマブ」と表記していましたが、「ペムブロリズマブ」のほうが一般的であると判断し、訂正しました。
追記2016/8/29
ペムブロリズマブを有効成分とする製剤キイトルーダ®は、日本でも2016年9月9日に承認の可否を審議される予定です。
2016/9/29追記
キイトルーダ®は9月28日に「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果として承認されました。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。