セリアック病、吸収不良症候群が増える?血圧を下げる薬との関連

血圧を下げる薬の一種について、副作用の疑いとして腸の症状が報告されています。フランスの研究で、その薬を使った人の診療データを解析したところ、腸の吸収不良やセリアック病による入院が多くなっていました。
◆オルメサルタン使用者と類似薬使用者を比較
セリアック病は、吸収不良症候群の一種で、腸の粘膜の異常により、食べ物から水分や栄養素が十分に吸収されなくなる病気です。
研究班は、血圧を下げる薬のオルメサルタンを使った人と、近い種類の薬であるACE阻害薬を使った人を比較しました。診療データを統計解析し、吸収不良による入院の頻度に違いがあるかを調べました。
◆吸収不良、セリアック病が多かった
次の結果が得られました。
4,546,680人の患者(9,010,303人年)が対象となり、218件のイベントが観察された。ACE阻害薬と比較して、オルメサルタン使用者では入院して退院時診断が腸吸収不良となる調整率比が2.49(95%信頼区間1.73-3.57、P<0.0001)だった。
ACE阻害薬と比較して、オルメサルタン使用者でセリアック病による入院の調整率比は4.39(95%信頼区間2.77-6.96、P<0.0001)であり、治療期間が長いと増加した。
オルメサルタンを使った人では、ACE阻害薬を使った人と比べて、吸収不良による入院、セリアック病による入院がどちらも多くなっていました。
この結果だけでオルメサルタンがセリアック病などの原因になったと断言することはできず、ほかの薬ではなくオルメサルタンが選ばれた人に、セリアック病などを起こしやすい特徴の偏りがなかったかをあわせて考える必要があります。また、オルメサルタン使用者とACE阻害薬使用者をあわせて450万人以上調べたうち入院に至った例が200件という数にどの程度の意義があるかも考えてみてよいかもしれません。
執筆者
Severe intestinal malabsorption associated with olmesartan: a French nationwide observational cohort study.
Gut. 2015 Aug 6 [Epub ahead of print]
[PMID: 26250345]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。