糖尿病は少し太っているだけでも増えるのか?過体重と代謝異常の効果

2型糖尿病の主な原因は肥満と食習慣にあると考えられています。また、糖尿病と高血圧などの代謝異常には、メタボリックシンドロームとして関連があるとされます。日本人を対象にしてこれらの関係を調べた大規模研究から、体重がやや重く、代謝異常がない人でも、正常体重で代謝異常がない人に比べると糖尿病のリスクが大きかったことが報告されました。
◆日本人3万人の調査から
研究班は、29,564人の日本人を追跡調査し、BMI(体重÷身長の2乗、22前後が健康的とされる)が25以上の「過体重」、高血圧、血液中の中性脂肪、HDLコレステロール(いわゆる「善玉コレステロール」)、空腹時血糖値の異常が、どのように糖尿病の発症と関連するかを統計解析しました。
◆過体重だけでもリスク要因
解析から、5年以内の糖尿病発症について次の結果が得られました。
計1,188人に糖尿病が発症した。4種類の代謝異常のどれにも当てはまらない正常体重の個人に比べて、同じく代謝異常のない過体重の個人は、糖尿病を発症するオッズ比が2.32(95%信頼区間1.50-3.59)だった。どれかひとつの代謝異常を持っていると、正常体重の個人では糖尿病のリスクがオッズ比3.23(2.55-4.10)で増加し、過体重の個人ではオッズ比5.00(3.77-6.63)だった。
代謝異常がない人でも、過体重の人は正常体重の人に比べて糖尿病を発症する割合が大きく、代謝異常がある場合にはさらに大きくなっていました。
体重が少し重いだけでも糖尿病になりやすいかもしれないという結果が示されました。糖尿病が気になる人は、検査の前にまずは体重を測ってみるのもひとつの考え方かもしれません。
執筆者
Risk of the development of Type 2 diabetes in relation to overall obesity, abdominal obesity and the clustering of metabolic abnormalities in Japanese individuals: does metabolically healthy overweight really exist? The Niigata Wellness Study.
Diabet Med. 2015 May
[PMID: 25438871]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。