ADHDに父親も関係?子どもの発達障害と母親・父親の要因

集中が続かない、動き回ってしまうなどの症状を特徴とする注意欠如・多動性障害(ADHD)は子どもによく見られます。原因はわかっておらず、親の年齢と関連するという説もありますが、関連が見られなかったという報告もあり、フィンランドの大規模なデータを使って検証が試みられました。その結果、母親の年齢と父親の年齢にはともにADHD発症と関連が見られました。
◆フィンランド1万人のADHD児と4万人の対照群を比較
研究班は次の情報をもとに研究を行いました。
このコホート内症例対照研究において、フィンランド全国の人口に基づいた登録情報から、フィンランドで1991年から2005年に生まれ、1995年から2011年にADHDの診断を受けた人10,409人を、性別、出生日、出生地でマッチした39,125人の対照群とともに同定した。
フィンランドでADHDと診断された約1万人の子どもと、ADHDではない約4万人の子どもを比較して統計解析を行いました。
◆父か母が20歳未満でリスク増
解析から次の結果が得られました。
20歳未満の父は、25歳から29歳の父に比べて、子どもにADHDが発症するリスクが1.5倍ほど高かった(オッズ比1.55、95%信頼区間1.11-2.18、P=0.01)。20歳未満の母は1.4倍ほど(オッズ比1.41、95%信頼区間1.15-1.72、P=0.0009)リスクが増加した。
父親が20歳未満だった場合、または母親が20歳未満だった場合は、それぞれ25歳から29歳だった場合に比べて、子どもがADHDと診断されることが多くなっていました。
ADHDの原因はわかっておらず、この結果からも親の年齢が原因とは断定できません。若いうちに出産した背景に別の原因があった可能性も考えられます。こうした情報は原因解明に向けた研究の手がかりになっていくかもしれません。
なお、ADHDについて関心のある方は、ほかの研究を紹介した記事もあわせてご覧ください。
「20歳未満で出産すると子どものADHDが増えるのか?」
http://medley.life/news/item/553f2ffde5425fd90017350b
「母親の自尊心が高いと子どものADHDの症状が少なかった」
http://medley.life/news/item/557980e8fecd1bf5004d9549
【訂正6/24】上記2記事へのリンクに誤りがあったため訂正しました。
執筆者
Parental age and the risk of attention-deficit/hyperactivity disorder: a nationwide, population-based cohort study.
J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2015 Jun
[PMID: 26004664]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。