医学部生として過ごしたコロナ禍はどうだったか | MEDLEYニュース
2022.02.15 | コラム

医学部生として過ごしたコロナ禍はどうだったか

オンラインでは置き換え難いこと、便利になったこと
医学部生として過ごしたコロナ禍はどうだったかの写真
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コロナ禍で生活様式が一変してから2年が経とうとしています。学生生活への影響についてメディアで目にすることもありますが、医学部生への影響も少なからずあると感じます。医師になる前の実践的な学び場であるはずの病院は、コロナ禍においてどうしても制限がついていたため、研修医になる際はいきなり現場に入れられたようで不安も強かったです。

私の実体験を振り返りつつお話させていただきます。

 

オンライン授業での学びには限界があった

2020年4月。緊急事態宣言が発令され、大学での授業、部活動は完全に停止となり、自宅で丸一日を過ごす生活がはじまりました。中には予定していた留学がなくなってしまった学生もいました。

すぐにオンライン授業に切り替えた学校もあったようですが、オンライン授業の体制が整うのに時間がかかった学校も多かったように思います。私の通っていた大学では、5月以降、徐々にオンライン授業が開始されました。

医学部の授業は、低学年(1-4年生)で受ける座学の授業、高学年(5-6年)で受ける臨床実習の2つに分かれます。前者に関しては、先生の授業がそのままオンライン授業(生配信/録画)に置き換わっている場合が多かったです。

大きく内容が変わったのは、後者の臨床実習でした。通常は、数人の班にわかれて大学病院の各診療科を回ります。患者さんを担当させていただいて毎日お話を聞きにいったり、指導医と一緒に行動しながら医師の業務について学んだり、実際に体験してこそ学ぶことができるのが臨床実習です。そのため、臨床実習をオンラインに置き換えるには限界がありました。

まず、患者さんの様子や指導医の動きをそのままカメラで配信するわけにはいきませんから、現場を見ることができません。代わりに座学の授業の復習や少人数でのディスカッションをオンラインで行いましたが、現場で得られるものとは緊張感も経験値も異なります。

外科系の診療科では、短時間に編集した手術動画を観ることができました。しかし、手術の手技や大まかな雰囲気はわかっても、実際の医師の動きやスタッフ同士の連携の取り方、緊張感のような"場の空気”は体感できません。

私の場合は、夏休みが明けたころになって、ようやく一部の診療科で実習が再開されました。とはいえ感染対策のため、午前のみ、午後のみ、など制限をかけて昼食を挟まないように配慮されていました。

病院での滞在時間は短かったですが、白衣を着て病院内を歩くこと自体が久々でしたし、患者さんと話したり、カンファレンスに出たりすることで、自分が医学生で翌年から医師の一員として働くのだという実感が戻ってきた気がします。

 

オンラインの就職活動への不安

医学部6年生としては、初期研修先を選ぶにあたっての病院見学がなかなかできなかったことも、大きな不安でした。

初期研修先を選ぶ、というのは卒業後に研修医として働く場所を選ぶことであり、いわゆる「就職活動」に当たります。医学部生の就活がほかの学生と大きく違うところは、職種が既に決まっているということです。国試に受かれば卒業後は通常医師として働きます。ですから就活では病院見学を通じて、その病院が実際に研修医として研鑽が積める労働環境か、そこで働く自分が想像できるか、などを自分の目で確認するのがポイントになります。(詳しくはコラム「医学生の就職先は「マッチング」で決まる:初期研修医として働く病院の選び方」を参照。)

しかし、コロナ禍に突入した2020年は見学を受け入れていない病院も多かったですし、自分の都道府県外に出ることが憚られることもありました。見学に一定期間の自宅待機を必要としているところや、見学だけでなく、就職での面接もオンラインに置き換えている病院もありました。

医学部生は病院で患者さんに会うからこそ、感染リスクの高い行動はできないのは当然なのですが、例年と違って得られる情報が少ない中での就職活動に戸惑いが大きかったです。

 

一番つらかったのは同世代との交流が失われたこと

そして何より、最も大きな影響だと感じたのは、人とのつながりが激減したことです。

友人と食事や飲み会ができなくなったのはもちろん、大学の同級生や先輩・後輩と部活動や授業で会うことがなくなりました。本来だったら大学の自習室で同級生と国家試験の勉強をしているはずだったのに、自宅で一人で勉強していると、自分だけ遅れているんじゃないか、勉強の仕方が間違っているんじゃないか、などと不安になることもありました。これまでは自習室で同級生が勉強しているのを見て、自分のやる気も上がることも多かったですが、国家試験の勉強は長期戦でしたし、一人でモチベーションを保つのは難しかったです。

私は大学で5年間過ごしたあとにコロナ禍になったので、すでに大学での人間関係が構築されていたことは、幸いでした。まだ人間関係の浅い入学したばかりの1年生が感じたであろう心細さは計り知れません。元来医学部生はタテとヨコのつながりを求めて部活に入る人がほとんどなのですが、コロナ禍では繋がりが希薄になりがちになることもあってか、2020年度は部活動に所属しない新入生の割合も増えていたため、孤独を強く感じる人も少なくなかったと思われます。

 

さいごに

授業はもちろん、人間関係、部活動、留学など、コロナによって大きく変化したことがたくさんありました。なかにはメリットもあります。いろいろな講演会がオンライン開催になり空き時間で気軽に参加できるようになったこと、オンライン飲み会が当たり前になり遠く離れた友人とも交流できるようになったことなどです。とはいえ、老若男女を問わずほとんどの人はいまだ何かしらの我慢を強いられていることでしょう。

 

徐々にニューノーマルの生活様式にも慣れてきたころではありますが、以前のように気兼ねなく仲間と食事を共にし、経験を共有し合える世界が1日も早く戻ってくることを切望しています。

 

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。