医学生の就職先は「マッチング」で決まる:初期研修医として働く病院の選び方 | MEDLEYニュース
2021.09.21 | コラム

医学生の就職先は「マッチング」で決まる:初期研修医として働く病院の選び方

医学生も就職情報サイトなどを利用して就活をします
医学生の就職先は「マッチング」で決まる:初期研修医として働く病院の選び方の写真
(c)tiquitaca-stock.adobe.com

9月に入り、すっかり秋の空気になりました。就職活動がひと段落したという大学生も多いのではないでしょうか。実は医学部の学生にも就活があります。卒業後に初期研修医として病院で働くために、「マッチング」と呼ばれる就職活動に参加するのです。

このコラムでは、マッチングを控えている医学生はもちろん、馴染みのない方にも医学生の就職活動について少しでも興味を持っていただけるよう、紹介します。

 

説明会や病院見学に足を運んで情報収集をする

医学部の大学生活は一般の大学生より長く、6年に渡ります。医学生の就職活動は、5年生のとき(早いと4年生、遅いと6年生の春)にはじまります。まず行うのは情報収集です。就職情報サイトが主催している合同説明会や、各病院の説明会・見学に行き、将来研修したい病院を探します。

 

【医学生の就活スケジュール(例)】

  • 大学の医学部に入学(6年制)
         ↓
  • 5年生の頃に就職活動を開始
         ↓
  • 6年生の秋頃に臨床研修先が決定
         ↓
  • 医師国家試験受験
         ↓
  • 医学部卒業 / 医師国家試験合格:医師免許取得
         ↓
  • 臨床研修(2年間):初期研修医として病院に就職
    *研修医について詳しくはこちらのコラムも参考にどうぞ

 

とはいえ、初期研修医を受け入れている病院は全国各地に多数あります。そのため、最初の候補を絞り込む時にはあまり深く考えず、「大学の先輩が働いている病院だから」「在籍している大学の大学病院・関連病院だから」「自宅から通いやすい病院だから」といった理由がきっかけで興味を持つことが多いようです。また、身の周りの人からはホームページや説明会などでは得にくい「生の声」が情報として入ってきますので、身近な病院に惹かれるのは自然なことだと思います。

しかし、中には合同説明会でたまたま通りがけに声をかけてもらった病院が気に入ってそのまま就職、なんて人もいるようです。こう書くとまるでナンパのようですが、人手不足の病院も少なくはなく就職してもらうために様々な魅力を打ち出してアピールをしているのです。

*合同説明会:一つの会場に多数の病院がブースを出していて、医学生が様々な病院のスタッフと情報交換できるイベントのこと

 

さて、病院見学では、実際に初期研修医が勤務している様子を見たり、先生方からお話を伺ったりすることができます。一般の就職活動でいうとインターンに相当するものですが、見学のための審査はなく、日程の都合さえ合えば見学できるのが嬉しい点です。ただ、病院見学に際して、履歴書の提出を求められたり、採用に携わっている先生と話す機会もあったりしますので、ある程度のアピールは必要なのかもしれません。

 

どの診療科を見るかによって病院の印象は変わる...かも

なお、初期研修医は2年間かけてさまざまな診療科を回ることになりますが、病院見学ではその全てを見ることはできません。事前に見学する診療科を絞り込むことになります。自分が興味のある診療科でもいいですし、救急車の受け入れが盛んなら救急科などその病院に特徴的な診療科を選ぶのも良いです。

人によっては何度も病院見学に行って、応募する病院を決めていきます。(大学のカリキュラムで所属する大学病院以外の病院で実習できる場合があり、その制度を利用して志望する病院で月単位の実習を行う学生もいます。)

ただ、同じ病院内であっても診療科によって雰囲気や働き方は大きく異なることがある、ということは心に留めておいてください。たとえば、同じ内科であっても、休日や夜間も必ず主治医が対応する主治医制をとっている診療科もあれば、基本的に当直医が対応する当直医制をとっている診療科もあります。よって、初期研修医の夜間・休日の過ごし方はそのときに回っている診療科によって大きく変わります。

 

ちなみに私自身はといえば、呼吸器内科に興味があり、病院見学では必ず呼吸器内科を見学するようにしていました。現時点で未定ではありますが、後期研修も同じ病院で働く可能性も考えて、志望診療科の雰囲気や診ることのできる症例を知りたかったからです。

 

マッチングシステムに参加登録する

6年生の6月ごろになったら、マッチング協議会のWebサイトに参加登録をします。医学生の就職「マッチング」では、Web上で全国の医学生と病院を「マッチさせる」=結びつけるシステムを使います。ここが一般の就職活動と大きく異なるところと言えます。さらに特徴的なのは複数の病院から個々に内定をもらうわけではなく、マッチング協議会のWeb上でマッチした病院1つに就職することになるという点です。そのため最初の参加登録を忘れると、マッチングシステムに参加できない、つまりほとんどの病院に就職できないことになってしまうので、登録は必須です。

 

採用試験を受ける

7-9月ごろ、医学生は志望する病院の採用試験を受けます。これは一般的な就職活動と似ているかと思います。履歴書・面接だけのこともあれば、小論文や筆記試験がある場合もあって、試験内容は病院ごとさまざまです。試験は全国平均で3.5病院ほど受けていて、少ない人で2-3病院、多い人では6-7病院受けているようです(2020年)。

 

結果はコンピュータ上で決まる

採用試験が一通り終わったら、マッチング協議会のWebサイト上で医学生は研修したい病院に順位をつけて登録します。一方、病院は採用したい医学生に順位をつけて登録します。ここまで来たら、あとはコンピュータ任せです。学生の志望順を優先しつつ、お互いの希望ができるだけ反映されるよう、コンピューターが自動的に病院と医学生の組み合わせを決めます。そして、10月ごろにWebサイト上で発表となります。

この時点で病院とマッチできなかった場合は、二次募集をしている病院を探して直接応募することになります。繰り返しになりますが人手不足の病院も少なくはないため、初回でマッチしなくても就職できないことは滅多にありません。

 

さいごに

マッチングは初期研修医として働く2年間のためのものであるという点も含め、一般の就職活動とは違うところが多々あります。このコラムを通じて、医学生の就職活動について少しでも知っていただけたら幸いです。

 

これからマッチングを控えている医学生へ

病院見学では、全ての診療科を回ることができるわけではありません。私はこの4月から初期研修医となりましたが、実際に働き始めてみて、初期研修医が学べることも、忙しさも、裁量も、雰囲気も、診療科によってかなり異なることを実感しました。後期研修以降も同じ病院で働くことを考えているならば、志望している診療科の様子を吟味することは大事ですが、一番は初期研修医を見て、その中で自分が働いているイメージが湧くかどうかといった、自分の直感も大切にしてみてください

マッチングシステムに臨む前にすべての病院と巡り合うことは難しいですし、ご縁のあった病院と機械的に組み合わせが決まるため、最終的には運や巡り合わせの要素も大きいのではないかと思いますが、悔いのない選択ができるように、さまざまな病院を見てみることをおすすめします。

 

参考文献

医師臨床研修マッチング協議会ホームページ:2020年度研修医マッチング 学生参加者アンケート

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。