高齢者に多い事故「薬の包装シート(PTP)誤飲」はなぜ怖いのか?

薬の包装シート(PTP)を丸ごと飲み込んで、消化管を傷つけてしまう事故が毎年後を絶ちません。しかし、高齢者が誤飲した場合には、自分で気づかないことがあります。このため、家族や介護者などの周囲の人が注意する必要があります。
このコラムでは、PTPを誤飲したらどうすれば良いか、誤飲を防ぐために何を注意したら良いのかについて説明します。
1. 薬の包装シート(PTP)を飲んだらどうなるのか
PTPを丸ごと飲んでも、ほとんどの人で特に問題は起こらず、そのまま便と一緒に自然に排出されます。しかし、なかには運悪くPTPの角が突き刺さって食道や胃腸に穴が開いてしまう人がいます。そのため、PTPを飲んでしまったら、たとえ自覚
2. 誤飲したPTPをどうやって取り除くのか
PTPが食道や胃、十二指腸の中にあるうちであれば、
PTP誤飲によってお腹の中で問題が起こることはまれですが、できるだけ早く受診して胃カメラで取り去ると安心です。
このように誤飲が起こった後の対処法を知っておくことは大事ですが、一方で、 誤って飲み込まないための予防法を知っておくことも需要です。PTPの誤飲が起きないように、日頃から防止策を考えるようにしてください。
3. PTP誤飲を予防するためにできること
高齢者のPTP誤飲を予防するためには、本人が注意するだけではなく、家族や介護者などの周囲の人が見守る必要があります。PTPの予防のために気をつけるとよいことを2つ紹介します。
PTPを1錠ごとに切断しない
現在、ほとんどのPTPは、ミシン目で切り離せる最小単位をあえて2錠にしています。これは、PTPを丸飲みできる大きさに分割しにくくするためです。
しかし、2錠ごとでは使い勝手が悪く、1錠ずつハサミで分割したくなる場面があります。たとえば、飲み忘れがないように薬のケースに仕分けするときや、外出時に持ち出すときです。
PTPを1錠ごと切り取ると、飲み込みやすいサイズになってしまいますし、角が尖って誤飲時に
一包化する
一包化とは、同時に飲む薬を1袋にまとめることです。
よくいわれている一包化のメリットは、飲み間違いや薬の紛失を予防できる点です。これらに加えて、PTPの誤飲が防げるというメリットもあります。一包化するときには、PTPを外した状態で錠剤やカプセルを袋に詰めるため、そもそもPTP誤飲の心配がありません。
ただし、吸湿性がある薬や光に弱い薬は、PTPから出して保存できないため、一包化できません。一包化を希望する人は、医療機関や調剤薬局に相談してみてください。
高齢者に起こりやすいPTPの誤飲事故では、「飲んでしまった際の対処法」と「飲まないための予防法」を知っておくことが何よりも重要です。そのためには家族や周りのサポートがポイントになります。このコラムで「PTP誤飲」について知って、対策に取り組んでもらえたら幸いです。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。