慢性の痛みに対する音楽療法
メキシコの研究班が、慢性の痛みに対する音楽療法について、これまでの研究データの調査を行い、結果を専門誌『Pain Physician』に報告しました。
この調査は、文献を検索して以前の研究データを集め、内容を吟味して統合したものです。
痛み・不安・うつが改善
慢性の痛みに対して音楽療法を試した14件の研究が見つかりました。対象者は線維筋痛症、がん、過敏性腸症候群、変形性関節症、多発性硬化症などにより慢性の痛みがある人でした。
14件のデータを統合し、音楽療法を使ったグループと使わなかったグループを比較すると、音楽療法のグループのほうが平均して痛みが軽くなっていると見られました(標準化平均差-0.60)。
ほかの効果の指標として、不安症状を報告した研究が4件、うつ症状を報告した研究が4件ありました。データを統合すると、どちらも音楽療法のグループのほうが平均して症状が軽くなっていると見られました。
治療の副作用にあたる害については報告がありませんでした。
研究班は「我々の解析から、音楽は慢性の痛みを持つ患者のための補助治療として有益である可能性があることが示唆される」と結論しています。
長引く痛みに音楽は有効?
慢性の痛みに対する音楽療法の効果についての調査を紹介しました。平均して痛みが軽くなるというデータが見つかっていました。
痛みが長引く状態はさまざまで、原因に対応する適切な治療があればそちらが優先と考えられます。この調査でもさまざまな状況のデータが統合されていますが、その中でもより音楽療法に適する場合とそうでない場合の差があることも考えられます。
標準的な治療法を使っても痛みが残る場合はあります。音楽療法のようにほかの方法を試そうと思うときには、実際に研究で示されたデータを判断材料として役立てることができます。
執筆者
Music-Induced Analgesia in Chronic Pain Conditions: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Pain Physician. 2017 Nov
[PMID: 29149141]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。