2017.10.30 | ニュース

悪性黒色腫をオプジーボとヤーボイで治療、3年生存率は?

併用・各単独を比較

from The New England journal of medicine

悪性黒色腫をオプジーボとヤーボイで治療、3年生存率は?の写真

ニボルマブ(商品名オプジーボ®)、イピリムマブ(商品名ヤーボイ®)は、どちらも根治切除不能な悪性黒色腫の治療に使用可能です。2剤を組み合わせる方法を試した試験から、3年生存率が報告されました。

ニボルマブ・イピリムマブとは?

ニボルマブとイピリムマブはどちらも免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患チェックポイント阻害薬に分類されますが、作用のしくみが違います(ニボルマブは抗PD-1抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりする、イピリムマブは抗CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査LA-4抗体)。

日本ではニボルマブは2014年、イピリムマブは2015年に販売開始されました。どちらも「根治切除不能な悪性黒色腫」が効能・効果に含まれます。悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚がんの一種です。

 

進行した悪性黒色腫に対するニボルマブとイピリムマブ併用

多国籍の研究班が、進行した悪性黒色腫に対してニボルマブとイピリムマブを併用する治療の試験を行い、結果を医学誌『The New England Journal of Medicine』に報告しました。

この試験の結果の一部は2015年に報告されています。2015年の報告では、ニボルマブ単独またはニボルマブとイピリムマブの併用がイピリムマブ単独に比べて、がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるの進行なく生存する期間を長くしたとされています。

この結果などを受けて、アメリカでは切除不能または転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いのある悪性黒色腫に対してニボルマブとイピリムマブの併用が承認されています。 

今回の報告では、前の報告のあともさらに追跡を続けた結果から、3年生存率などが報告されています。

 

※日本では、イピリムマブ(ヤーボイ®)の添付文書に「本剤は他の抗悪性腫瘍無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある剤と併用しないこと。」との記載があります(2017年10月時点)。

 

3年生存率58%

この研究では、切除不能または転移のある悪性黒色腫の患者が対象とされました。対象者はランダムに3グループに分けて治療されました。

  • ニボルマブとイピリムマブの併用を3週ごとに4回、以後ニボルマブを2週ごと(314人)
  • ニボルマブを2週ごと(316人)
  • イピリムマブを3週ごとに4回(315人)

治療後の追跡で、生存率は次の結果となりました。

3年全生存率はニボルマブ+イピリムマブ群で58%、ニボルマブ群で52%、対してイピリムマブ群では34%だった。

3年生存率はニボルマブ+イピリムマブのグループで58%、ニボルマブ単独のグループで52%、イピリムマブ単独のグループで34%でした。ニボルマブ+イピリムマブがイピリムマブ単独よりも、またニボルマブ単独がイピリムマブ単独よりも死亡率が低いと見られました。

副作用の可能性があると見られた出来事で、入院が必要な程度または命に関わる程度のものは、ニボルマブ+イピリムマブのグループのうち59%の人に現れました。ニボルマブ単独では21%、イピリムマブ単独では28%の人に現れました。

副作用によると見られた死亡者は4人いました。1人はニボルマブ単独のグループ、1人はイピリムマブ単独のグループ、2人はニボルマブ+イピリムマブのグループでした。

 

ニボルマブ+イピリムマブは悪性黒色腫に有効?

進行した悪性黒色腫に対してニボルマブとイピリムマブの併用を試した試験を紹介しました。がんの進行なく生存した期間の報告と同様に、進行を問わず3年生存率で比較してもイピリムマブ単独よりもニボルマブとイピリムマブの併用またはニボルマブ単独が勝る結果でした。

日本では2017年9月に、この試験の結果などをもとに、ニボルマブとイピリムマブの併用を可能とするための承認申請が出されました。承認の可否を待つ段階ですが、今回報告された3年生存率も判断に寄与するかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Overall Survival with Combined Nivolumab and Ipilimumab in Advanced Melanoma.

N Engl J Med. 2017 Oct 5.

[PMID: 28889792]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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