胸に釘が刺さった64歳男性
アイルランドの医師らが、胸に3本の釘が刺さった64歳男性を手術で治療した例を報告しました。
この男性は、電気釘打ち機で左胸に3本の釘が刺さった状態で救急部に運ばれてきました。
到着した時に意識ははっきりしていました。釘は体に入り込んでいて、レントゲン写真とCT検査で心臓の近くに釘が3本とも写りました。
3本目はどこに?
手術で2本の釘は取り出せました。肺に穴が開いて空気が漏れている状態(気胸)でした。心外膜に穴が開き、心臓に傷がついている様子が見えました。しかし目で見ても3本目の釘が見つかりませんでした。
そこで磁石を使って探したところ、肺門部深くに見つかりました。磁石で釘を浅い位置までゆっくり引き上げ、取り出しました。
術後の回復は良好でした。
磁石が手術に使える?
報告した医師らは手術中に金属製品を見失った場合の対応を考察しています。術中画像検査を使う方法があることを挙げたうえで、過去に顔の手術や腹腔鏡手術で磁石を使った報告があることに触れ、磁石を使うことで、体を大きく傷つけるリスク、手術時間、費用を抑えられるとしています。
どうやって治療するか?
胸に刺さった釘を磁石で見つけて取り出しやすくした例を紹介しました。
胸に釘が刺さった点も、磁石を使った点も、非常にまれと思われます。この一例から磁石を積極的に使おうと考えることは難しいでしょう。
とはいえ、思いがけない事態に医師らが知恵を絞って臨んだ例とも言えるのではないでしょうか。
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。