がいしょうせいききょう
外傷性気胸
ケガが原因で生じる気胸の総称。気胸とは、肺に穴が空くなどして胸腔(肋骨の内側と肺の外側に囲まれる空間)に空気が漏れてきてしまっている状態
8人の医師がチェック 111回の改訂 最終更新: 2022.06.10

外傷性気胸の基礎知識

POINT 外傷性気胸とは

けがによって肺が破れてしまい気胸を生じた状態です。刃物のようなもので刺された場合や交通事故のような高エネルギー外傷で起こりやすいです。主な症状は咳や呼吸困難、胸痛などです。重症度の高い緊張性気胸という状態になることもあるので、血圧や脈拍などの全身状態に注意する必要があります。 外傷の程度と症状、画像検査から診断します。超音波(エコー)検査を行うこともあります。治療は脱気やドレナージを行う場合が多いですが、必要に応じて手術を行います。外傷性気胸が心配な人や治療したい人は、救急科や呼吸器外科、呼吸器内科を受診して下さい。

外傷性気胸について

  • けがが原因で生じる気胸の総称
    • 気胸とは、主に肺から胸腔(肋骨の内側と肺の外側に囲まれる空間)に空気が漏れてきてしまっている状態
    • 受けた傷の大きさや性質によって気胸の重症度が決まる
      • 肺に空いた穴が小さい場合にはほとんど症状がでないこともある
      • 胸腔へ空気が流れ込む一方で出ていかない状態になることがあり、大量の空気が胸腔に溜まり重症度が高い気胸(緊張性気胸)となる
    • 緊張性気胸になると胸腔内の圧力が非常に高くなるため、肺や心臓などが圧迫され、呼吸状態が悪くなったり血圧が保てなくなったりする
  • 主な原因
    • 気胸が発生する要因として以下の状況がある
      • 刃物で刺されたなどのけがで胸壁に穴が空き、外と胸腔がつながってしまう場合(開放性気胸
      • 自動車事故などの外からの衝撃で肋骨の骨折が起こり、骨折した骨が肺や気管、気管支を傷つけて空気漏れを起こす場合
    • 高エネルギー外傷(強い衝撃が身体に加わる外傷)で起こりやすい
      • 交通事故
      • 転落事故
      • 爆発事故
      • 暴行 など

外傷性気胸の症状

  • 主な症状
    • 胸痛
    • 呼吸困難
    • 皮下気腫
    • 血圧低下 など
  • 程度は様々で、軽い息切れ程度のものから重度の呼吸困難や、場合によっては命の危険に至るケースまである

外傷性気胸の検査・診断

  • 病歴と症状、身体所見から診断して緊急の処置を行うこともある
  • 画像検査
    • 胸部レントゲンX線)検査
    • 胸部CT検査
    • 超音波(エコー)検査

外傷性気胸の治療法

  • 程度が軽ければ特別な治療を行わずに様子を見て自然治癒を期待する
  • 処置が必要と判断されれば、以下の処置を行う
    • 肺のつぶれが大きくなければ、胸に細い針の注射を刺して一時的に漏れた空気を吸い出す処置(胸腔アスピレーション、脱気)を行う
    • 肺のつぶれが大きければ、胸からチューブを入れたままにして漏れた空気を持続的に吸い出す処置(胸腔ドレナージ)を行う
  • 骨折があれば骨折の治療、傷があれば傷の治療を行う
  • 長期的な経過 
    • 留置したチューブは、数日間から2週間程度で抜けることが多い
  • 肺に開いた穴が大きい場合やドレナージを行っても改善しない場合、気胸が再発した場合は手術を行う
    • CT検査で肺気腫(肺の壁が伸び切っている状態)やブラ(肺の壁が薄くなっている状態)が多く見られる場合も手術をすることがある
  • 外傷性気胸の場合には血胸合併することもしばしばあるので注意して観察、治療する

外傷性気胸の経過と病院探しのポイント

外傷性気胸が心配な方

外傷性気胸は、交通事故や転落などの外傷に伴って生じる疾患で、息切れや咳、胸から背中の痛みといった症状がみられます。外傷性気胸の場合、実際のところは呼吸困難があったり、他の部位のケガがあったりして、救急車で搬送される場合が大半です。救急隊は、近さや病院の専門性を考慮した上で、適切な病院を判断し案内してくれます。

気胸の診断は胸部レントゲンや胸部CT、胸部超音波で行います。国内の総合病院であればほとんどのところにレントゲンとCTの設備がありますので、診断のために特別な病院を選択しなければならない、ということはありません。

外傷性気胸は、転倒や交通事故などで生じるものです。その他の部位のケガがないかを見落とさないことが重要ですので、気胸以外のケガも含めて検査をすることになります。

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外傷性気胸でお困りの方

気胸の治療としては、軽症であれば特別な治療を行わず、経過を見て自然に治るのを待つこともあります。

ある程度以上の気胸の場合には、胸腔穿刺や胸腔ドレナージといって、胸に針を刺して漏れた空気を抜き出す治療を行います。この場合、原則として入院が必要となります。

胸腔穿刺、胸腔ドレナージを行ってもその後の回復が良くない場合には手術を行います。呼吸器外科の中では一般的な手術ではありますが、外科医によって専門が異なるため、消化器外科、整形外科、脳外科などではなく、呼吸器外科の医師であるとより経験が豊富だと言えます。

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