アッヘンバッハ症候群と診断された66歳女性
自治医科大学の研究者らが、アッヘンバッハ症候群の典型的な症状が現れた66歳女性の写真を、医学誌『The New England Journal of Medicine』に報告しました。
この女性はもともと持病などはありませんでしたが、右手中指に急な痛みとあざのような症状が現れて受診しました。
3週前にも同じ症状がありましたが数日で自然に消えました。
1週間で自然治癒
診察で、皮膚の下に出血して血の塊ができていると見られました。
出血の原因になることの例として、薬剤の中には血液を固まりにくくするものがあります。血栓による病気を防ぐ目的などで使われます。しかし、この女性にはいつも飲んでいる薬はありませんでした。
最近けがをしたこともありませんでした。
ほかに指の色が変わる症状として、レイノー症状(レイノー現象)というものもあります。レイノー症状は手を冷やすと色が青や白に変わり痛みも出るという症状です。原因として強皮症などの膠原病(こうげんびょう)があるほか、機械の振動による場合や、原因不明の場合もあります。
しかしこの女性では手を冷やしても色は変わりませんでした。
血液検査では、血液の固まりやすさに異常は見つかりませんでした。血液が固まりにくく・出血しやすくなる病気はたくさんありますが、多くは血液検査で何らかの異常を示します。
血液に異常がなくてもヘノッホ・シェーンライン紫斑病などは考えられますが、年齢やほかの症状が典型的なものには当てはまりません。
この女性は症状の特徴などから、アッヘンバッハ症候群と診断されました。
アッヘンバッハ症候群は原因なく突然手の指などの皮膚の下に出血する病気です。高齢者に多いとされ、原因は不明ですが、自然に治ります。
この女性は治療なしで1週間以内に症状は自然になくなりました。
急に指が青くなっても心配ないのか?
アッヘンバッハ症候群と診断された人の例を紹介しました。
アッヘンバッハ症候群は自然に治ります。突然出血したところを見ると重い病気ではないかと心配になるかもしれませんが、アッヘンバッハ症候群とわかっていれば心配は要りません。
ただし、紹介した人でも検討されたように、似た症状を示すほかの病気と見分けることは大切です。中には重い病気もあります。
突然見たことのない症状が現れたときに、まず医療機関で相談するのは良い考えです。そのうえで、重い病気ではないと説明されれば、心配なことを質問して、不安を解消してください。
執筆者
Achenbach's Syndrome.
N Engl J Med. 2017 Jun 29.
[PMID: 28657879] http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1610146※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。