2017.06.16 | ニュース

未成年の喫煙を予防する動機付けは効果を示していない

文献の調査から
from The Cochrane database of systematic reviews
未成年の喫煙を予防する動機付けは効果を示していないの写真
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喫煙は全身にさまざまな面で害があります。未成年に喫煙を始めさせないことは社会にとって大切な課題です。動機付けによって喫煙を予防する方法についてこれまでに報告されている効果が調査されました。

オーストラリアのメンジーズ研究所の研究班が、未成年に喫煙を始めさせないために動機付け(インセンティブ)を使う方法の効果について調べ、結果を『Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。

この研究は、文献の調査により、過去に報告されている内容をまとめたものです。

2012年にも同様の調査が行われていましたが、最近の報告も含めるよう改めて調査がなされました。

 

調査により次の研究が見つかりました。

1件を除いてすべての研究が、「煙のないクラス競争(SFC)」を試していた。SFCはヨーロッパ全土にわたって広く実施されていた。

SFCの研究ではない1件の研究は、2か所の地域にある学校が介入に割り付けられ、第3の地域の学校を対照とした比較試験だった。介入地域のうち、プロジェクトの終わり(1学年末)に喫煙率の低いほうの生徒が報酬を得た。

ほとんどの研究は、「煙のないクラス競争(SFC)」の効果を調べていました。SFCはヨーロッパ全土で行われていました。

SFCとは、学校のクラス単位で参加するプログラムです。参加したクラスの生徒は、6か月間喫煙しないことを約束する書面にサインします。約束を守れたクラスには賞が与えられます

SFC以外に1件だけあった研究では、地域どうしの競争を試していました。1学年の競争期間の終わりに喫煙率が低いほうの地域の生徒が賞を与えられることとされました。

効果については次の結果がありました。

より頑健なランダム化比較試験からプールしたリスク比(3件の研究、3,056人の参加者、クラスタリングを調整すると1,107人)は、SFCの形の動機付けは、児童と青少年の間で長期的に喫煙開始を防ぐために統計的に有意な効果がないことを示唆した(リスク比1.00、95%信頼区間0.84-1.19)。

SFCによって長期的に喫煙を始めさせないようにする効果は確かめられませんでした

SFC以外の研究からは解析に適したデータが得られませんでした。

 

動機付けによって未成年の喫煙を防ぐ効果は確かめられていないという報告を紹介しました。

未成年の喫煙を防ぎ、将来の喫煙者を減らすことは、多くの人の健康にとって大切な課題です。しかし動機づけを与えることが最適なやりかたとは言えないかもしれません。

未成年の喫煙対策はまだ検討を要する課題です。事実に基づいて、より効果のある方法を選んでいくことが必要です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Incentives for preventing smoking in children and adolescents.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 June 6.

[PMID: 28585288] http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD008645.pub3/abstract

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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