2017.04.23 | ニュース

水を飲んでもやせない?38人が6か月のダイエット指導を受けた結果

ボストンで過体重/肥満青少年に対する効果を検証
from JAMA pediatrics
水を飲んでもやせない?38人が6か月のダイエット指導を受けた結果の写真
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水を飲んでお腹をいっぱいにしておけば、食べる量が減ってダイエットにいい…よく言われることですが、効果はどれほどでしょうか。未成年を対象にした研究で、減量効果を確かめられなかったことが報告されました。

ボストンで行われた減量効果の研究の結果が、小児科専門誌『JAMA Pediatrics』に報告されました。

この研究では、対象者が6か月間の指導で体重を減らそうとしている間、水を多く飲むように指導された場合とされなかった場合を比較して、体重を減らす効果に差があるかを調べています。

過体重/肥満の基準に当たる未成年が対象とされました。また、1日に水を飲む量がコップ4杯以下と答えた子供だけが選ばれました。

肥満BMI(体重[kg]÷身長[m]÷身長[m])によって定義されます。成人の場合、BMIが25以上で過体重(overweight)、BMIが30以上なら肥満(obese)です。子供では成長にともなって標準的なBMIが変わるので、同じ年齢・性別の体重分布の中でどの程度の位置に当たるかによって肥満を定義します。

38人の子供が参加しました。平均年齢は14.9歳でした。参加者はランダムに2グループに分けられました。

どちらのグループも体重を減らすための指導を受けました。指導の内容は食事カウンセリング、毎日のテキストメッセージ、健康のためのガイドが入った料理の本などでした。

飲水群の参加者は1日あたりコップ8杯の水を飲むよう指導されました。対照群では水を多く飲む指導はなされませんでした。

6か月後に参加者の体重が測定され、BMIのz値が算出されました。z値とは偏差値に似た計算値です。同じ月齢・性別の中で平均ちょうどの体重ならz値が0、重ければz値が正(プラス)の値、軽ければz値は負(マイナス)の値になります。つまり、6か月後にBMIのz値が減少していれば、平均的な成長に比べて体重を減らす効果があったことになります。

 

次の結果が得られました。

 

グループ 飲水群 対照群
飲水量の変化 +2.8杯/日 +1.2杯/日
BMI z値の変化 -0.1 -0.1

 

表のとおり、飲水群のほうが水を飲む量は増えていましたが、BMI z値はどちらのグループでも平均-0.1となり、減量効果の差が確かめられませんでした

 

水を多く飲む指導が子供の減量指導の効果を増やさなかったという報告を紹介しました。

過去の研究では、大人を対象として、水を多く飲む方法で減量効果があったとするものもあります。ここでは指導の有無によって水を飲む量は1日あたり1.6杯しか増えませんでした。子供が言われたとおりの量の水を飲み続けるのは簡単ではないのかもしれません。

体重を減らすには、食事を減らしても運動を増やしても効果がありますが、どちらも生活に負担をかけます。目標を立てても実行できなければ効果は期待しにくいでしょう。

効果的な方法を実行するためには環境を整えるなどの工夫ができるかもしれません。あるいは、一人一人に合わせて実行しやすい方法を選ぶことも大切だという見方もできるのではないでしょうか。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Effects of Advice to Drink 8 Cups of Water per Day in Adolescents With Overweight or Obesity: A Randomized Clinical Trial.

JAMA Pediatr. 2017 Mar 6. [Epub ahead of print]

[PMID: 28264082]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。