2017.08.21 | ニュース

小学生の体重、食事・運動・生活改善で減るのは「1kgと少し」?

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

小学生の体重、食事・運動・生活改善で減るのは「1kgと少し」?の写真

肥満はさまざまな健康上の問題につながります。子供の肥満を解消しようとする医学研究も数多く行われています。食事・運動などによって体重を減らす効果が調査されました。

イギリスの研究班が、子供の肥満の治療について、これまでの研究から報告されている結果をまとめ、『The Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。

この研究は、文献の調査によって、過去の研究のデータを集めて吟味したものです。

6歳から11歳で過体重または肥満BMI体格指数。「体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]」で算出される。18.5から25が普通体重とされているが、筋肉量や脂肪率を反映しないため体格の唯一の基準とはできないが上位15%以内)の子供を対象に、食事・運動・行動のいずれか(または複数)を変えさせる治療を試した研究を調査しました。6か月以上にわたって体重を追跡した研究を選びました。ほかの病気などの原因による肥満についての研究は除きました。

2009年にも同様の調査が行われていましたが、最近の研究も調査対象に含めて更新しました。

 

採用基準を満たす70件の研究が見つかりました。研究期間は6か月から3年でした。効果について次の結果が得られました。

全体として証拠の質は低いか非常に低いものであり、62件の試験は少なくとも1個の基準においてバイアスの高いリスクがあった。

体重の平均差は-1.45kg(95%信頼区間-1.88から-1.02)、P<0.00001、17件の試験、1,774人、低い質の証拠だった。

研究の方法上の理由によって結果が偏っていた可能性が高いと見られる研究が多く、全体として証拠の質は低いと判定されました。治療によって体重は平均1.45kg減っていました。

 

子供の肥満治療についての研究を紹介しました。

子供の肥満の基準は年齢・性別によっても違いますが、1.45kgの減量で「正常」の範囲になるのは対象者の中でも一部だけで、限界のある効果と言えます。

ただし、証拠の質は低いとされたことから、本当はもっと効果があるかもしれないし、効果が薄いかもしれないし、どちらかわからないというのが現状です。

子供が太っていると、食べ物を変えたりしなければいけないように思うかもしれません。しかし、世界中の研究者が効果を出そうと努力しても1kgあまりの不確かな減量しか達成できていません。子供の体重が減らなくても親のせいではありません。

子供の成長とともに、身長が伸び、生活習慣も変わり、自分の考えで行動をコントロールできるようになっていきます。小さいうちに太っていても、「やせさせるために何でもしなければ」と思い詰める必要はないのではないでしょうか。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Diet, physical activity and behavioural interventions for the treatment of overweight or obese children from the age of 6 to 11 years.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Jun 22.

[PMID: 28639319]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

トップ