2016.08.31 | ニュース

脳卒中後のバランス訓練、バーチャル自転車で改善

10人の脳卒中患者の研究

from BioMed research international

脳卒中後のバランス訓練、バーチャル自転車で改善の写真

脳卒中の後遺症のひとつが、左右のバランスを取って歩きにくくなることです。リハビリとして自転車のトレーニングに仮想現実を取り込んだ方法で、改善が見られたことが報告されました。

◆仮想現実と自転車の訓練をテスト

台湾の研究班が専門誌「Biomed Research International」で報告した研究では、仮想現実を使って自転車こぎの訓練をするシステム「VRCTS」の効果を検討しています。

VRCTSは、ペダルをこぐ運動をセンサーで感知して反応し、訓練する人が左右バランスよく足の力を鍛えられるように調整します。

脳卒中後の患者10人が研究に参加しました。

参加者はVRCTSを使うグループと使わないで訓練するグループに分けられました。

 

◆両足の力とバランスが改善

訓練によって次の結果が得られました。

VRCTSトレーニングののち、両側ペダル踏力は0.22改善し(P=0.046)、歩行板のトレーニングでは立位バランスが0.29改善した(P=0.031)。すなわち両方のトレーニング法が有意差を示した。

VRCTSを使ったグループで、両足の力のバランスと、まっすぐ立ったときの左右のバランスが改善しました

一方、VRCTSを使わなかったグループでは改善が見られませんでした。

 

脳卒中の後遺症は人それぞれです。回復のためにはひとりひとりの状態に合わせたリハビリが大切です。よりよい生活を取り戻せるよう、さまざまな方法が工夫されていく中で、仮想現実などの技術もますます活かされていくかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

A Virtual Reality-Cycling Training System for Lower Limb Balance Improvement.

Biomed Res Int. 2016.

[PMID: 27034953]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る