高齢者の股関節骨折が薬で2倍に?90万人の統計から
股関節骨折は、高齢者では転倒などで起こりやすく、寝たきりにもつながります。実際の骨折患者の統計を解析した研究から、ある種類の薬を使っていた人で2倍近い股関節骨折が発生していたことが報告されました。
◆ノルウェー90万人のデータを解析
ここで紹介する研究は、ノルウェーの全国統計のデータを解析することにより、
抗精神病薬は、認知症の周辺症状に対する効果が知られ、日本では
研究班は、ノルウェー全国の906,422人を対象として、2004年から2010年までの処方の登録データと、2005年から2010年までの股関節骨折の登録データを参照し、統計解析を行いました。
抗精神病薬を使用中だった人と、そうでない人が比較されました。
◆抗精神病薬使用中には股関節骨折が2倍
次の結果が得られました。
股関節骨折のリスク増加は抗精神病薬の曝露と関連し、何らかの抗精神病薬の曝露(標準化率比2.1、95%信頼区間1.9-2.1)[...]に関連があった。
何らかの抗精神病薬を使用中だった人の間で、使用中ではなかった人よりも2.1倍高い率で股関節骨折が起こっていました。
高齢者は一般に、薬の副作用にも配慮して量の調整などが検討されます。また、複数の持病がある人では、飲み合わせが悪い薬にも注意が必要です。高齢者を治療する医師には、全体のバランスを見て処方を決める高い判断能力が求められます。
執筆者
Antipsychotic Drugs and Risk of Hip Fracture in People Aged 60 and Older in Norway.
J Am Geriatr Soc. 2016 Jun.
[PMID: 27321599]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。