◆生理痛とサプリメントに関する研究データを分析
ひどい生理痛で日常生活がうまくできなくなっている状態を月経困難症と言います。月経困難症の治療としてNSAIDsという種類の痛み止めの薬などがよく使われますが、ほかの方法についてもいろいろな研究があります。
ここで紹介する研究は、これまでに行われた研究の中で、サプリメントが月経困難症の痛みを和らげる効果としてどのような結果が出ているかを複数のデータからまとめたものです。
漢方で使うような生薬は除き、ハーブやビタミンなどのサプリメントの研究で見つかったものすべてのうちから、評価できるデータがあるものをまとめました。
◆有効とするデータもあった
27件の研究が見つかりましたが、いずれも研究の方法などから、結果に本来の効果以外の要素も入り込んでいる可能性があると判断されました。この点について、研究班は「主な限界は、対象者数が非常に少ないこと、研究の方法が適切に報告されていないこと、一貫性がないことによる不正確さである」と述べています。
このように信頼性にはいくぶん疑問がつきましたが、その中でも以下のサプリメントについてはデータが出されていました。
- ビタミンE:有効とするデータなし
- イノンド、グアバ、ウイキョウ:一部で有効とされているが、ほかのデータと一貫しない
- フェヌグリーク、魚油、ビタミンB1、ショウガ、バレリアン、ザタリア、硫酸亜鉛:有効とするデータがある
- ルバーブ、ダマスクローズ:NSAIDsとの差が確かめられなかったというデータがある
- カモミール:NSAIDsよりも効果が大きいとするデータがある
副作用については十分に報告していない研究も多く、報告された中では深刻な副作用はありませんでした。
確かさには疑問が残るとはいえ、カモミールなどの一部のデータでは生理痛を和らげる何らかの効果があるという結果が示されていました。中には間違いや偶然ではなく効果を期待できるものがあるのかもしれません。
執筆者
Dietary supplements for dysmenorrhoea.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Mar 22.
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。