小学生でも心肺蘇生法を習得できる

誰かの心臓が突然停止した時、居合わせた人による救命処置が患者さんの生命に大きく影響するため、心肺蘇生法ができる人の増加が望まれます。ドイツの研究チームが小学生への救急講習を実施し、先生と救急医による指導の習得レベルを比較しました。
◆10歳の児童261人を対象に
研究チームは、2つの学校で10歳の児童261人を対象に、訓練を受けた教師または救急医による心肺蘇生の訓練を3年間または6年間毎年実施し、1、3、6年後にそれぞれ習得レベルを評価しました。
◆知識については学校の先生が教えた方が習得しやすい
以下のような結果が得られました。
訓練は児童の知識と実践的なスキルを増加させた。教師にトレーニング群の児童は、救急医にトレーニング群の児童に比べて、蘇生に関する知識(92.86%±8.38 vs. 90.10%±8.63, P=0.04)・換気率(4.84/min±4.05 vs. 3.76/min±2.37, P=0.04)について優れていた。胸部圧迫率、圧迫深度、換気量、または自己効力感に関して差は認められなかった。6年後の知識およびスキルは、3年間と6年間の群で同等だった。
学校の先生が教えても、救急医による指導と比べ習得内容に差はないという結果でした。知識については学校の先生が教えた方が優れていました。
小学生だと力が足りず、規定の深さまでは押せない児童も多いですが、手の位置や理論は習得できますので、成長して力が強くなれば習得したことを実行できます。
小学生の方が中・高生より素直にトレーニングを受けるので習得しやすいという報告もあります。
日本では、小学生1年生からを対象に学年に合わせた段階的な救急法の講習会が実施されています。低年齢からの救急法の習得が広く普及し、救命措置ができる人の増えることが望まれます。
執筆者
Kids save lives: a six-year longitudinal study of schoolchildren learning cardiopulmonary resuscitation: Who should do the teaching and will the effects last?
Resuscitation. 2016 Apr.
[PMID: 26868079]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。