◆400名を対象に、パーキンソン病発症とビタミンDの関連を調査
今回紹介する論文の著者らは、201名の新規パーキンソン病診断患者とパーキンソン病を発症していない199名の対照群を調査しました。ビタミンDの指標として血中25ハイドロキシビタミンDの量を測定し、ビタミンD摂取と直射日光に当たった時間に関しては、自己報告アンケートを用いて行いました。
日光に含まれる紫外線は、皮膚においてビタミンDを活性型に変える働きがあります。
◆パーキンソン病患者は血中ビタミンD濃度が低い
著者らは、以下の結果を得ました。
健常対照者と比較して、パーキンソン病発症患者では、血中25ハイドロキシビタミンD濃度(20.6 ± 6.5 ng/mL)、1日当たりビタミンD摂取量(8.3 ± 3.7g/日)、および直射日光暴露(9.7 ± 4.1時間/週)が有意に低かった(p <0.05)。
つまりパーキンソン病発症患者では血中ビタミンD濃度が低く、ビタミンD摂取が少ないのに加え、体内ビタミンD合成の鍵となる直射日光に当たる時間も少ない傾向がありました。なお著者らの調査から、血中25ハイドロキシビタミンD濃度と直射日光は相関関係がありましたが、血中25ハイドロキシビタミンD濃度とビタミンD摂取についての相関は観察されませんでした。
著者らは、「この研究は、低レベルの血中25ハイドロキシビタミンDと直射日光暴露が、有意にパーキンソン病発症リスク増加と関連する事を示している」と述べています。
特に食べ物による摂取よりも、直射日光に晒されることの方が、ビタミンDの量との関連が強いようです。適度な外出が、脳神経に対し良い影響を及ぼすのかと思われます。ただしパーキンソン病発症で外出が困難になり、その結果として直射日光に晒される時間が減った可能性もあります。具体的な仕組みは分かりませんが、興味深い結果です。
執筆者
Vitamin D and Sunlight Exposure in Newly-Diagnosed Parkinson's Disease.
Nutrients. 2016 Mar 4.
[PMID: 26959053 ]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。