2016.04.05 | ニュース

電気刺激で全人工膝関節置換術後の痛みが緩和する?

60人を調査

from Journal of physical therapy science

電気刺激で全人工膝関節置換術後の痛みが緩和する?の写真

全人工膝関節置換術は、変形性膝関節症などにより変形した膝関節を人工関節に入れ替える手術です。手術後は痛みや筋力を改善するためにリハビリテーションを行いますが、このときに電気刺激治療を加えたときの効果が検討されました。

◆神経筋電気刺激の効果を検証

電気刺激を使って筋肉を刺激し収縮させることを、神経筋電気刺激と言います。手術後や脳卒中発症後など何らかの理由で手足を動かせないときに適用され、筋力低下を防いだり筋力強化することを可能にします。

研究班は、手術を受けた60人をホームエクササイズを行う群30人と、神経筋電気刺激を受ける群30人とに分けました。対象者は痛みや歩行能力などを手術前、手術後1ヶ月、3ヶ月に調査されました。

 

◆電気刺激を受けた群で痛みや身体機能がより改善

得られた結果は、以下のように報告されています。

1ヶ月時点でのWOMACの結果の比較はNMES群の痛みや固さ、トータルスコアが1ヶ月および3ヶ月時点でのコントロール群のそれよりも有意に良好であった。メンタルヘルスを除くSF-36のサブスコアおよび身体機能の有意な良好さはフォローアップの1ヶ月時点でNMES群で発見された。

これは、電気刺激を受けた群(NMES群)で、痛みなどの評価基準(WOMAC)に沿った評価がホームエクササイズの群よりも良好だったことを述べています。つまり、電気刺激を受けた群は、痛みや身体機能などがホームエクササイズの群に比べて改善しました

研究班は「膝関節置換術後に神経筋電気刺激プログラムを加えることは、膝の痛み、歩行距離、QOLをすみやかに向上させることにおいてより効果的であった。」と結論づけています。

 

全人工膝関節置換術後の回復に効果的なケアを考える上で、この結果が役立つかもしれません。

執筆者

針谷 遼

参考文献

The effect of neuromuscular electrical stimulation on functional status and quality of life after knee arthroplasty: a randomized controlled study.

J Phys Ther Sci. 2015 Aug.

[PMID: 26355656]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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