ノロウイルスで下痢を起こしやすい子どもの特徴

ノロウイルスによる胃腸炎は大人にも起こりますが、子どもにも多くあります。どのような場合に起こっているのか、また一度感染したあとに免疫がつくことは期待できるのかが調査されました。
◆8か国の子どもを2歳まで追跡
ここで紹介する研究は、ペルー、ブラジル、バングラデシュ、インド、パキスタン、タンザニア、南アフリカ共和国、ネパールの施設で行われました。
対象となった1,457人の子どもが出生後から生後24か月まで追跡され、下痢の症状や検査結果などを記録されました。
◆GII型でだけ免疫の効果あり?
次の結果が得られました。
研究施設全体で、対象となった子どもの89%が生後24か月未満で少なくとも1回のノロ
ウイルス 感染を経験した[...]。
対象となった子どもの89%が、2歳までに1回以上ノロウイルスに感染していました。
また、低栄養状態で成長が遅くなった子どもでは、ノロウイルスに感染して下痢などの症状を起こす危険性が高くなっていると見られました。
獲得免疫を示す根拠が、GII型の感染に対してだけ観察された。すなわち、以前にGII型の感染があった子どもは、続いて感染するハザードが27%減少していることが見いだされた(ハザード比0.727、P=0.010)。
ノロウイルスのうち、遺伝子の特徴で分類される「GI型」という種類のものに対しては、繰り返し感染することを防ぐ効果が確かめられませんでした。別の種類の「GII型」のウイルスは、一度感染したことがある子どもにその後感染する率が27%少なくなっていました。
二度目の感染がGII型ではいくらか少なくなったとはいえ、なくなりはしないという結果でした。また、正常な成長を妨げるほどの低栄養は悪影響を起こしていた可能性があります。
子どもの将来の健康に深く関わる正常な成長のため、社会全体が支えていくことの大切さの一端が示されているのかもしれません。
執筆者
Norovirus Infection and Acquired Immunity in 8 Countries: Results From the MAL-ED Study.
Clin Infect Dis. 2016 Mar 24. [Epub ahead of print]
[PMID: 27013692]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。