2016.03.29 | ニュース

突然の腹痛を起こす「急性膵炎」は一度起こると繰り返す!再発防止手術の効果は?

85人の治療で比較

from Annals of surgery

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急激な腹痛などの症状があり、再発も多い急性膵炎の原因は、男性ではアルコール、女性では胆石が代表的です。しかし、原因を特定できない「特発性」と呼ばれる場合もあります。このとき再発防止を図って行われる手術の効果が報告されました。

◆原因不明でも胆嚢を取る?

胆石があるだけでは症状はありませんが、胆石が胆汁や膵液の通り道をふさいでしまった場合などには、急性膵炎の原因になります。胆石がある人は急性膵炎を10倍以上発症しやすく、胆石ができる主な場所である胆嚢を取り除くことで、胆石が原因の急性膵炎を減らせます。

この研究は、原因が特定できていない特発性急性膵炎に対しても、胆嚢を取り除く「腹腔鏡下胆嚢摘出術」を行うことで、急性膵炎の再発を予防できるかを調べています。

はじめて特発性急性膵炎が発症し、8か所の病院を受診した、合計85人の患者が対象となりました。対象者はランダムに、腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けるグループと、急性膵炎の治療のあと経過観察するグループに分けられました。その後数年間の経過を比較して、急性膵炎の再発に違いがあるかが検討されました。

 

◆胆嚢を取ったほうが再発が少ない

次の結果が得られました。

フォローアップ期間の中央値36か月(5-58)のうちに、腹腔鏡下胆嚢摘出術群よりも対照群で特発性急性膵炎の再発率は有意に高く(4/39 vs 14/46、P=0.016)、再発回数でも同様だった(8/39 vs 23/46、P=0.003)。

3年前後の追跡期間のうちで、経過観察したグループの46人中14人(およそ30%)に急性膵炎の再発がありましたが、腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けたグループでは39人中4人(およそ10%)と、急性膵炎の再発が少なくなりました

研究班は「腹腔鏡下胆嚢摘出術は、膵炎を起こしたほかの病因の可能性がすべて慎重に除外された場合には、特発性急性膵炎の再発を効果的に予防することができる」と結論しています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Can Laparoscopic Cholecystectomy Prevent Recurrent Idiopathic Acute Pancreatitis?: A Prospective Randomized Multicenter Trial.

Ann Surg. 2015 Nov.

[PMID: 26583660]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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