2016.03.29 | コラム

花粉症の目薬「アレジオン点眼液」は、コンタクトをつけたまま使えることが特徴

エピナスチン塩酸塩製剤の特徴について

花粉症の目薬「アレジオン点眼液」は、コンタクトをつけたまま使えることが特徴の写真
1. アレジオン点眼液の特徴とは?
2. なぜ花粉症の目薬はコンタクトのままだと使用できなかったの?
3. その他、知っておくと良い点について

通常、花粉症の目薬はソフトコンタクトレンズに吸着する防腐剤を使っているため、コンタクトレンズを装着したまま使用することは推奨されません。しかし、この防腐剤を使っていない目薬があることをご存知でしょうか?今回は、アレジオン点眼液について解説します。

◆アレジオン点眼液の特徴とは?

花粉症を含むアレルギー症状に対する目薬である「アレジオン®点眼液0.05%(成分名:エピナスチン塩酸塩)」は、2014年12月からコンタクトレンズをつけたまま点眼ができるようになりました。(※基本的には、コンタクトレンズを外した状態で使用することをお勧めします)

通常目薬を差す場合、コンタクトレンズを外してから点眼する必要があると言われています。この理由の一つは、点眼液に使われている防腐剤の「ベンザルコニウム」(ベンザルコニウム塩化物)が、ソフトコンタクトレンズに吸着し、目に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。アレジオン点眼液は、他の点眼液に先駆けて防腐剤を「ベンザルコニウム」から「リン酸水素ナトリウム水和物」及び「ホウ酸」に変更し、「ベンザルコニウム」を使っていない製剤として知られています。この背景について、少し詳しく見ていきましょう。

 

◆なぜ花粉症の目薬はコンタクトのままだと使用できなかったの?

そもそもなぜ点眼液に防腐剤を入れる必要があるのでしょうか?

その理由として、開封してしまった目薬は液の中で雑菌が繁殖するという大きな問題点があります。その雑菌の繁殖を抑えるために、多くの点眼液では防腐剤である「ベンザルコニウム」が使用されています。コンタクトをしていなければ点眼液が眼と接触している時間は僅かであるためほとんど問題にはならない(但し、頻度は稀ですが点眼薬の防腐剤に対してアレルギー反応などがあらわれる場合もあります)一方で、コンタクトレンズをしている場合の問題点がありました。それは、「ベンザルニコウム」がソフトコンタクトレンズに吸着しやすい性質を持っているため、コンタクトをつけたまま目薬を差すと、結果として長時間防腐剤と角膜が接触してしまうということです。

過去の研究でも、以下のことが報告されています。

  • 長い時間、角膜と「ベンザルコニウム」が接触し続けていると、角膜に害を及ぼす(第25回日本緑内障学会「角膜ジストロフィと塩化ベンザルコニウム」を参照)。
  • ただし、点眼時にはレンズを外し、その後10分の間隔を置いて装着し直すことで、この吸着は回避することができる(Christensen MT, et al. Five-minute removal of soft lenses prevents most absorption of a topical ophthalmic solution. CLAO J.24(4):227-231, 1998を参照)。

 

◆その他、知っておくと良い点について

現在のところ、コンタクトレンズを装着したまま点眼できるのは『アレジオン®点眼液0.05%』の他では、基本的に1回使い切りタイプの点眼液(製剤例:『インタール®点眼液UD2%(成分名:クロモグリク酸ナトリウム)』 など)です。また、2週間以上使い続けるタイプのコンタクトレンズでは、ベンザルコニウムが多量に付着することも知られている一方、ワンデイタイプのコンタクトレンズでは吸着量も少なく、問題にならない可能性も考えられます。しかし、短期間しか点眼しない場合には着脱を繰り返す方が角膜に良くない場合もありますので、一度主治医と相談するようにしてください。

 

この記事では、花粉症の目薬「アレジオン®点眼液0.05%」について、コンタクトレンズ装着時の使用に注目して解説しました。繰り返しになりますが、基本的にはコンタクト装着時の点眼はお勧めしません。しかし、場合によっては点眼可能なものもあるため医師や薬剤師の話をよく聞いて、使用するようにしましょう。

 

【編集部注】この記事は、「お薬Q&A ~Fizz Drug Information~」のサイト内で公開中の記事をもとに作成しています。

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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