◆てんかん、自閉症スペクトラム障害の発生頻度を解析
研究班は、台湾の1997年から2008年の健康保険データベースをもとに、18歳未満の子どもの経過について統計解析を行いました。
調査開始時に自閉症スペクトラム障害があり、それまでにてんかんと診断されたことのない子どものデータを、自閉症スペクトラム障害がない子どもと比較して、てんかんが新たに発生する頻度に違いがあるかが検討されました。
同様に、新たにてんかんと診断され、その前には自閉症スペクトラム障害と診断されたことのない子どものデータが、てんかんのない子どもと比較されました。
◆一方があると他方の発生が多い
次の結果が得られました。
自閉症スペクトラム障害グループの中で、非障害グループと比べててんかんの調整ハザード比は8.4(95%信頼区間5.5-12.7)だった。
てんかんグループの中で、てんかんのないグループと比べて自閉症スペクトラム障害の調整ハザード比は8.4(95%信頼区間6.2-11.4)だった。
自閉症スペクトラム障害かてんかんのどちらか一方があると、その後にもう一方が発生する頻度が8倍程度に多くなっていました。
研究班は「これらの結果は、自閉症スペクトラム障害とてんかんにおそらく共通のリスク因子があることを暗示する」と述べています。
こうしたデータは、てんかんや自閉症スペクトラム障害の治療中に注意することや、これらの病気の新しい治療法についてヒントになるかもしれません。
執筆者
Bidirectional association between autism spectrum disorder and epilepsy in child and adolescent patients: a population-based cohort study.
Eur Child Adolesc Psychiatry. 2016 Jan 20. [Epub ahead of print]
[PMID: 26791195]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。