人工股関節置換術後のリハビリで歩行速度はどれぐらい回復するのか

股関節手術後の歩行は遅くなり、歩行時の体の動きが左右非対称になります。歩行をする上で速さと体の左右差は重要です。この研究は人工股関節置換術後の患者を対象に歩行が速くなるか、歩行時の体の左右差が変化するかを検証しています。
◆集中した入院リハビリテーションの効果
股関節を手術した後の平均60歳以上の29名と、同年代の30名の健康な人が対象となりました。入院中4週間の集中した運動(筋力強化や日常生活に沿う動作練習)により歩行が速くなるか、歩行時の体の左右差が治るかをセンサーを用いて検証されました。
◆歩行速度が速くなり、歩行時の体の左右差が改善した
次の結果が得られました。
歩行速度と歩行対称性は術後15-27日から改善した(速度、女性: 3.2と4.5 m/秒; 男性: 4.2 と 5.2 m/秒; 自己相関、 女性: 0.77 と 0.81; 男性: 0.70 と 0.79; すべてP <0.001 )。
集中的な入院リハビリテーションにより歩行の速度が向上し、歩行時の体の左右差が改善しました。
歩行が速くなっただけでなく、歩行時の体の左右差も改善したことは集中した入院リハビリテーションの効果であると思います。歩行だけでなく、筋力や日常生活がどの程度できるようになったのかも今後検証が必要かもしれません。
執筆者
Improvement of walking speed and gait symmetry in older patients after hip arthroplasty: a prospective cohort study.
BMC Musculoskeletal Disorders. 2015 Oct.
[PMID: 26459628]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。