2016.01.20 | ニュース

小頭症の原因に?ジカウイルスの流行地域、予防法と症状

疾病管理予防センターから勧告

小頭症の原因に?ジカウイルスの流行地域、予防法と症状の写真

子どもの小頭症との関係などが疑われ、病態に不明な点の多いジカウイルス感染症が、中南米などで流行し、リオデジャネイロオリンピックへの影響も懸念されています。アメリカ疾病管理予防センターから、対策のための勧告が出されました。

◆ジカウイルスとは

ジカウイルスは蚊に媒介されて人にも感染するウイルスです。症状として、ここで紹介する疾病管理予防センターの勧告では、「急性に発症する発熱、斑丘疹、関節痛、結膜炎のいずれかがあり、発症前2週間以内に流行が見られる地域に行った患者では、ジカウイルス感染が考慮されるべきである」としています。

直接の死因になった事例は知られていませんが、勧告では「ジカウイルス感染は小頭症の乳児複数例と、妊娠中に感染した女性における胎児喪失の複数例で確認されている」とされ、妊娠中に感染することで子どもへの影響が懸念されています。

 

◆流行地域は?

ジカウイルスは1947年にアフリカのウガンダで分離されましたが、現在はほかの大陸にも見られ、2015年第17週から2016年第2週にかけて地域内での感染が見つかった国と地域はバルバドス、ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、ガイアナ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、マルティニーク、メキシコ、パナマ、プエルトリコ、パラグアイ、サンマルタン、スリナム、ベネズエラです(全米保健機構・世界保健機関米州地域事務局の公開情報より:http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_topics&view=article&id=427&Itemid=41484&lang=en)。

疾病管理予防センターは、ジカウイルスの感染が「アメリカ州のほかの国へさらに拡散する見込みは大きい」としています。アメリカ合衆国に帰国した人で、ジカウイルスの感染が見つかった例も知られています。対策として、特に妊娠中の女性や妊娠を希望している女性に対しては、流行地域に行くときには渡航前に主治医などに相談したうえ、蚊に刺されないよう十分注意することを勧めています。

 

ジカウイルスの感染経路や感染による病態については不明な点が多く、ワクチンやウイルスを狙った治療薬もありません。より正確に危険性を把握したうえ、効果的な予防につなげるために、今後も新しい情報が待たれます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Recognizing, Managing, and Reporting Zika Virus Infections in Travelers Returning from Central America, South America, the Caribbean, and Mexico.

CDC Health Alert Network. 2016 Jan 15.

http://emergency.cdc.gov/han/han00385.asp

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る