2016.01.21 | ニュース

慢性心不全の患者さんは腸内環境がわるい?

軽・重度の患者さん60人の腸内細菌を調査
from JACC. Heart failure
慢性心不全の患者さんは腸内環境がわるい?の写真
(C) ALDECAstudio - Fotolia.com

慢性心不全と腸内フローラに関連があるかもしれないという検証がなされています。イタリアの研究チームが患者さんの重症度・静脈鬱血レベル・炎症反応と腸内フローラの関連を検討し、患者さんの腸内に病原細菌やカンジダ類が多くあることが報告されました。

◆軽・重度の患者さん60人と健康な20人の腸内細菌を調査

研究チームは、慢性心不全の患者さん60人、健康な20人の糞便中の微生物を調べました。

 

◆慢性心不全の患者さんは病原細菌とカンジダ類を保有していた

健康な人と比べ、慢性心不全の患者さんは腸内に、カンピロバクター、赤痢菌、サルモネラ、エルシニアといった病原細菌カンジダ類(カビの仲間)を数倍から数十倍程度多く保有していることが報告されました。

 

腸内フローラと健康・病気の関係は最近特に注目されている分野で、多くの研究があります。循環器系では腸内細菌からのTMAOという「毒」の出方を抑えると動脈硬化が防げる、という研究も出ています。今回の研究からは腸内フローラが劣化することと心不全の因果関係は分かりませんが、腸内環境を改善することは慢性心不全に対する新しい戦略となる可能性もあります。

参考文献

Pathogenic Gut Flora in Patients With Chronic Heart Failure.

JACC Heart Fail. 2015 Dec 7.

[PMID: 26682791] http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26682791

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。