◆4か月から6か月で研究開始、3か月間の効果は
この研究では、以前に母乳だけで育てられたあと離乳した、4か月から6か月の子ども260人が対象になりました。対象者である子どもは、ラクトフェリン強化ミルクを飲むグループ(強化ミルク群)、普通のミルクを飲むグループ(対照群)に分けられ、3か月間違うミルクを飲むことで、下痢または気道感染症の頻度に違いがあるかを調べられました。
◆呼吸器症状、下痢関連症状が少ない
次の結果が得られました。
この研究の結果から、対照群に比べて強化ミルク群、母乳群の乳児で呼吸器関連症状の発生率が低く、鼻水、咳、くしゃみの症状が少なくなることの根拠が示された(P<0.05)。嘔吐、吐き気、腹痛の発生率は区別されなかったが、下痢関連症状の発生率は対照群に比べて強化ミルク群と母乳群で有意に低かった(P<0.05)。
普通のミルクを飲んだ対照群よりも、強化ミルク群のほうが鼻水、咳、くしゃみ、下痢関連症状が少なくなりました。
この結果から研究班は「3か月間の感染症罹患に対する有益な効果は、以前に離乳した乳児に対する牛ラクトフェリン補充の可能性を強調する[...]と結論しています。
母乳はいくつかの面で子どもの健康に良いと言われていますが、ビタミンKが少ないため補充が必要といった面もあるほか、母乳で育てることが難しい場合もあり、ミルクにも役割があります。ミルクの中で少しでも子どもの体に良いものがあれば、大変な子育ての助けになるかもしれません。
執筆者
Effect of bovine lactoferrin from iron-fortified formulas on morbidity of diarrhea and respiratory tract infections of weaned infants in a randomized controlled trial.
Nutrition. 2015 Sep 3. [Epub ahead of print]
[PMID: 26602290]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。