血の塊を防ぐ薬「DOAC」はワーファリンよりも死亡率が低い?

抗凝固薬は、血液をサラサラに保ち、血のかたまり(血栓)で血管やカテーテル内が詰まることを予防するために飲む薬です。その抗凝固薬のなかにはいくつかの種類がありますが、今回の研究では種類ごとに分けて、使用中の死亡率を比較しました。
◆ワルファリン vs. DOAC
◆13件の研究論文から102,707人のデータを解析
今回の研究では、過去の13件の研究論文をまとめ、対象者をワルファリンを使って治療する群とDOACを使って治療する群とに分けて、死亡率について分析しました。
◆DOACはワルファリンよりも死亡率が少ない
結果は以下の通りとなりました。
ワルファリンと比較するとDOACは出血による死亡(相対リスク 0.53; 95%信頼区間 0.43-0.64;異質性 I(2) = 0%)、
心血管疾患 による死亡(相対リスク 0.88; 95% 信頼区間 0.82-0.94; 異質性I(2) = 0%)、そしてすべての死亡(相対リスク 0.91; 95%信頼区間 0.87-0.96; 異質性 I(2) = 0%)の減少と有意 に関連していた。
ワルファリンと比較すると、DOACは出血による死亡率だけでなく、全死亡率を減少させるという結果でした。
今回の研究結果のように全死亡率が減少されるのであれば、治療対象となる疾患を持つ全ての人にとってDOACの方が良いと思うかもしれません。しかし、主治医はより詳しく、薬による効き方の違いや出血以外の副作用、患者さんの費用負担などを考慮しベストの薬を選択します。どちらか迷う場面では今回の結果も参考になるかもしれません。抗凝固薬は多くの種類が流通していますが、正しい用法と用量をきちんと守って飲むことが一番大事です。
執筆者
Mortality outcomes in patients receiving direct oral anticoagulants: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.
J Thromb Haemost. 2015 Oct 5.
[PMID: 26356595]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。