運動によりパーキンソン病患者の転倒を防げるか?
パーキンソン病はバランス障害や運動障害による転倒リスクが高いことで知られています。今回の研究では、運動によってパーキンソン病患者の転倒をどの程度防げるか検証しました。
◆運動は転倒予防につながるか
今回の研究班は25本の研究論文をまとめ、対象者を運動を行なった群、運動を行わない群とに分け、歩行能力や転倒リスクについての分析を行いました。集めた論文の中では、運動として、バランス練習や歩行練習などが行われていました。
◆転倒リスクは半分に減少
研究の結果、以下のことが分かりました。
運動を行うことでパーキンソン病患者のバランスと歩行能力に改善効果が認められ(24本の研究における短期介入についてHedges’ g=0.303 、12本の研究における長期介入についてg=0.419; P値 <0 .05)、転倒率は減少した(4つの研究における短期介入で率比=0.485。5つの研究における長期介入で率比=0.413; P<0.05)。
パーキンソン病の患者は運動を行うことにより、バランスと歩行能力を改善でき、転倒リスクの軽減にもつながるという結果でした。
ここでも確かめられたように、運動することによってバランス障害や歩行能力の改善が期待できるという報告は多数ありますが、人によって運動する頻度や強度にも注意を払うことが必要かもしれません。安全に継続して行える運動を心がけることが大事です。
執筆者
Effects of Exercise on Falls, Balance, and Gait Ability in Parkinson's Disease: A Meta-analysis.
Neurorehabil Neural Repair. 2015 Oct 21 [Epub ahead of print]
[PMID: 26493731]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。