◆370,460人のデータを解析
研究チームは、370,460名のデータを解析しました。運動量については「MET(代謝等価:metabolic equivalent)」という単位ではかります。例えば、安楽に座っている状態を1とした場合、早歩きで3~4、ジョギングで7くらい、というイメージです。このMETの値に運動した時間(分)をかけたものがMET-minと言う単位で、4METの早歩きを30分行なえば、120MET-minくらいになります。
◆週に500 MET-minではリスク減はわずか
実際のデータを解析したところ、運動量が多いほど、心不全リスクが低減しているという結果でした。米国2008年のガイドライン推奨のうち最も少ない運動量(週に500 MET-min)ではリスク減はわずかで、リスクをはっきり低下させるためには、ガイドライン推奨レベルより2倍・4倍とかなり上回る運動量が必要であろうことが分かりました。
ガイドライン推奨最小身体活動レベルの2倍の1000 MET-min/週でハザード比は0.81(95%信頼区間0.77から0.86)、および4倍の2000 MET-min/週でハザード比は0.65(95%信頼区間0.58から0.73)の運動量があった人に、はっきりしたリスク低下が見られた。
身体活動と心不全リスクの関連については、すでに多くの研究があり、2012年の冠動脈疾患との関係に関するメタ解析では、「とにかく少しでもやるのがよい」と推奨されていました。しかし、今回の結果から見ると、かなりの運動量がなければ効果は小さいということになります。
執筆者
Dose-Response Relationship Between Physical Activity and Risk of Heart Failure: A Meta-Analysis.
Circulation. 2015 Nov
[PMID: 26438781]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。