2015.12.04 | ニュース

「クラッ」としたとき、こんな人は脳卒中に要注意

272人の診断から

from Neurology

「クラッ」としたとき、こんな人は脳卒中に要注意の写真

立ちくらみのようにふらつく症状は、病気ではない場合も多いですが、脳卒中でも現れることがあります。ふらつきの症状が見られたとき、脳卒中が見つかった人に多い特徴が調査されました。

◆脳卒中があった人はどんな背景を持っていたか?

この研究は、ふらつきに加えて眼振(眼が細かく震える)または体のバランスが取れない症状が急に起こった人272人を対象としました。

対象者に脳卒中(ここでは脳梗塞または脳出血)が起こっているかどうかが、画像検査のMRIで判定され、脳卒中があった人と、脳卒中がなかった人が比較されました。

対象者のうちで、脳梗塞を予測する目安として知られるABCD2スコアなどによって脳卒中を正しく見分けられるかが検討されました。ABCD2スコアは、以下のいくつかに当てはまる人の危険性が高いと評価する指標です。

  • 年齢が60歳以上
  • 血圧が高い(最高血圧が140mmHgより高いか最低血圧が90mmHgより高い)
  • 片麻痺(体の右か左の半分が動かない)または構音障害(ろれつが回らない)の症状がある
  • 症状が長時間持続する
  • 糖尿病がある

 

◆ABCD2スコアと診察で分類

次の結果が得られました。

脳卒中と関連した因子は下記のとおり:ABCD(2)スコア(連続値、オッズ比1.74、95%信頼区間1.20-2.51)、その他の中枢神経所見(オッズ比2.54、95%信頼区間1.06-6.08)[...]。モデルで低リスクのカテゴリには脳卒中と診断された人はなく(86人中0、0%)、中等度リスクのカテゴリでは9人(94人中9人、9.6%)、高リスクカテゴリでは20人(92人中20人、21.7%)が脳卒中と診断された。

ABCD2スコア、診察上の特徴(眼球運動以外)に、脳卒中の診断と統計的に関連が見られました

これらの特徴から脳卒中である恐れが小さいと見られた人では86人のうち実際に脳卒中だった人はなく、恐れが大きいと見られた人では92人中20人が実際に脳卒中でした。

 

脳卒中は少しでも早く診断し治療を始めることが結果に直結すると言われています。こうした手掛かりから、必要なときに遅れず受診し、診断の役にも立てることで、効果的な治療に貢献できるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Stroke risk stratification in acute dizziness presentations: A prospective imaging-based study.

Neurology. 2015 Nov 24

[PMID: 26511453]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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