2015.12.05 | ニュース

日本人のコレステロールを減らす薬、エボロクマブ

404人を分析

from The American journal of cardiology

日本人のコレステロールを減らす薬、エボロクマブ の写真

心筋梗塞などの心血管疾患に関連する可能性があるコレステロール値の改善には、スタチンという薬が使われることがあります。今回の研究では、日本人を対象にスタチンに加え、さらにエボロクマブという薬を用いると有効であるか検証しました。

◆エボロクマブの有効性を検証

LDLコレステロール値を改善する薬として、スタチンが知られてます。しかし、中にはスタチン治療ではコレステロール値が十分に改善しない例もいるため、薬の追加治療の有効性が検証されてきました。エボロクマブは、注射によりコレステロール値が改善すると言われている薬です。

今回の研究では、脂質異常症であり、心血管疾患を発症する危険性が高い日本人404人を対象に、スタチンの一種であるアトルバスタチンによる治療を4週間行い、さらにエボロクマブを使用して治療したときの効果を検証しました。

 

◆エボロクマブ治療を加えるとコレステロール値が改善

以下の結果が得られました。

12週時点におけるプラセボに対するエボロクマブのLDLコレステロールの平均減少値は、67%から76%であった。

治療群の間に有害事象に関する差は見られなかった。

エボロクマブを用いた場合、LDLコレステロール値がより大きく改善し、70%前後の低下となりました。また、エボロクマブを用いても用いなくても、副作用に差はありませんでした。

 

スタチン治療だけでは治らない患者さんに対しても、このような薬によりコレステロール値が改善する可能性があります。現在臨床試験段階ではありますが、この薬が将来的には治療薬として用いられる日が来るかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

A Phase 3 Study of Evolocumab (AMG 145) in Statin-Treated Japanese Patients at High Cardiovascular Risk.

Am J Cardiol. 2015 Oct 19

[PMID: 26547291]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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