◆211,667名のデータを調査
研究班は、1型および2型糖尿病の高齢者へ血圧降下剤や血糖降下剤の処方の軽減が適切なタイミングで行なわれているかを検討するため、2012~2015年のアメリカの兵役経験者の診療記録を基に、2012年に治療を受けた70歳以上の糖尿病患者211,667名のデータを調査しました。
◆2/3が目標値を達成していてもくすりを続けていた
糖尿病の治療を受けていた人で、血糖を検査する際にみるHbA1c(血液内のヘモグロビンのうち、糖と結合しているものの割合)の値が6.0%未満の正常範囲に下がっていた患者さんのうち27%で治療強度が軽減されていました。高血圧の治療を受けていて血圧が120/65mmHg未満の患者さんで18.8%が、治療強度を軽減されていたという結果でした。
この調査では、対象のうち2/3の高血圧・糖尿病患者さんで、検査値が正常になっていても以前の治療が続けられていました。日本では調査結果がなく、世界的にもこのような調査はほとんどありません。糖尿病に限れば、アメリカから「治療強度低減が不十分」という他の報告が出ています。
適切なタイミングでくすりの処方を減らしたり、お休みすることも大事な治療です。よりよい医療の標準や評価の中に「治療を減らす」ということも組み込まれる必要があるのではないでしょうか。
執筆者
Rates of Deintensification of Blood Pressure and Glycemic Medication Treatment Based on Levels of Control and Life Expectancy in Older Patients With Diabetes Mellitus
JAMA Intern Med. 2015 Oct
[PMID: 26502220] http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26502220※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。