◆過去の研究を収集
研究班は、過去の文献を検索し、かぜの症状に対するNSAIDsの効果を調べた研究を集め、データを統合しました。
◆痛み、くしゃみが改善
次の結果が得られました。
計1,069人の参加者について、計37の比較を行った9件のRCTを採用した[...]。
プールした解析で、NSAIDsは総症状スコアを有意に減少することがなく(標準化平均差-0.40、95%信頼区間-1.03から0.24、3件の研究、ランダム効果モデル)、かぜ症状の持続期間を有意に短縮することもなかった(平均差-0.23、95%信頼区間-1.75から1.29、2件の研究、ランダム効果モデル)。呼吸器症状について、咳に改善はなかったが(標準化平均差-0.05、95%信頼区間-0.66から0.56、2件の研究、ランダム効果モデル)、くしゃみのスコアは有意に改善した(標準化平均差-0.44、95%信頼区間-0.75から-0.12、2件の研究、ランダム効果モデル)。NSAIDsによる鎮痛効果に関するアウトカム(頭痛、耳痛、筋関節痛)については、治療により有意な利益が見られた。有害事象のリスクがNSAIDsで高いとは言えなかった(リスク比2.94、95%信頼区間0.51-17.03、2件の研究、ランダム効果モデル)[...]。
見つかった研究のデータを解析したところ、NSAIDsが頭痛などの痛みとくしゃみの症状を改善する効果が見られましたが、症状の総合スコア、症状の持続期間、咳については、効果が見られませんでした。副作用があると確かめられるデータは得られませんでした。
研究班は、これらの結果から「かぜにNSAIDsを使うときは利益と害のバランスを考慮する必要がある」と述べています。
NSAIDsの副作用については多くの知見があり、種類や用量によって喘息、胃潰瘍、アレルギー反応などの原因になりうると言われていますが、ここではかぜの症状を抑える治療として使ったときに特定の副作用が起きるというデータは見られませんでした。
効果については、ある程度の効果が示されたものの、かぜの症状すべてに効くとは言えないという結果でした。どんなときにNSAIDsを使うと効果が期待できるのか、参考にできるかもしれません。
執筆者
Non-steroidal anti-inflammatory drugs for the common cold.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep 21 [Epub ahead of print]
[PMID: 26387658]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。