◆妊婦の喫煙、乳幼児の受動喫煙と虫歯の関係を検証
今回の研究は、神戸市で2004年から2010年に生まれた子ども76,920人を対象に分析しました。
妊娠中の母親の喫煙と生後4ヶ月時点での受動喫煙について調査し、その後の子どもの虫歯との関係を検証しました。
◆4ヶ月時点での受動喫煙は子どもの虫歯発生の危険性を2倍以上に
以下の結果が得られました。
3歳時点でのカリエスの危険性は14.0%(家族に喫煙者なし)、20.0%(家で喫煙しているがタバコの煙を吸っている根拠がない)、27.6%(タバコの煙を吸っている)であった。
傾向スコアで調整したハザード比は、2つの曝露グループで家族に喫煙者がいない子どもと比べて、それぞれ1.46(95%信頼区間1.40-1.52)、2.14(95%信頼区間1.99-2.29)であった。
受動喫煙が確かめられた子どもは、家族に喫煙者がいない子どもと比べて、虫歯、歯の欠損、歯を埋める治療を行う危険性が2倍以上高いという結果でした。また、受動喫煙をしている根拠はないが家族が家で喫煙している子どもでは、1.46倍でした。しかし、妊娠中の喫煙と関連は認められませんでした。
虫歯は甘いものを食べるとなりやすい、ということは理解されていますが、今回の研究結果のようにタバコとの関連はあまり知られていないかもしれません。子どもの歯の健康のためにもタバコに注目する意味があるのかもしれません。
執筆者
Secondhand smoke and incidence of dental caries in deciduous teeth among children in Japan: population based retrospective cohort study.
BMJ. 2015 Oct
http://www.bmj.com/content/351/bmj.h5397※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。