未成年者を対象にした研究のまとめ
ここで紹介する研究は、未成年者を対象に、フッ素の入った液体で口をゆすぐことで虫歯を予防する効果について調べた過去の研究結果をまとめたものです。
同様の調査は2003年にも行われていましたが、その後に報告された研究も含めるよう改めて調査がなされました。
研究班は文献データベースの中から最新で2016年にわたる範囲を検索し、関係する37件の研究報告を見つけました。
虫歯などの増加数が27%減
見つかった研究のすべてが、学校で指導のもとにフッ素液で口をゆすぐ方法を調べていました。2件の研究は家庭でフッ素を使う方法も調べていました。
虫歯が予防される効果について次の結果が得られました。
35件の試験が(15,305人の参加者)、永久歯の表面についての解析においてメタアナリシスにデータとして寄与し、齲蝕(喪失)処置歯表面のプールした予防率は27%(95%信頼区間23%-30%、I(2)=42%、中等度の質のエビデンス)だった。
フッ素を使うことで、虫歯や抜歯などが新たに起こる歯の数を27%ほど減らせると見られました。
副作用については次の結果でした。
3件の試験が不完全に歯の染色について報告し、1件の試験が粘膜刺激/アレルギー反応についての情報を不完全に報告していた。治療中の急性有害症状について報告した試験はなかった。
一部の研究から、歯に色が付く、粘膜刺激症状、アレルギー反応など、副作用の可能性があることが報告されていました。
フッ素は使うべき?
フッ素で口をゆすぐことで歯の問題をある程度減らせるという証拠が得られました。なお、フッ素入り歯磨きについては別の研究があります。
フッ素で口をゆすぐ薬は市販薬としても買えます。子供が使っても効果が期待できそうです。
ただし、ここで報告された「27%」という数字は、「使えば虫歯にならない」と言えるほどではありません。きちんと歯磨きをするなど常識的な予防策はやはり大切です。
薬には副作用もまったくないとは言えません。使用上の注意もよく読んだうえで使ってください。
執筆者
Fluoride mouthrinses for preventing dental caries in children and adolescents.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jul 29.
[PMID: 27472005]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。