ボツリヌス毒素は皮膚平滑筋腫の痛みを改善できるか?

ボツリヌス毒素は神経から伝わる信号を抑える働きがあり、筋肉の異常な緊張が起こる病気の治療に使われています。皮膚平滑筋腫という腫瘍では強い痛みが起こり、治療しにくいことがあり、ボツリヌス毒素によって痛みを抑えられるかの研究が行われました。
◆皮膚平滑筋腫の痛みを治療
この研究では、一定以上の痛みの
痛みの程度とともに、生活の質(
◆痛みに効果なし、しかしQOL改善
次の結果が得られました。
研究群間で局所の痛みの平均に
有意 差は見られなかった。皮膚関連QOLについて、群間でDLQIの総スコア(ボツリヌストキシンに対して中央値-4.00、範囲-8.00から2.00、偽薬に対して中央値0.00、範囲-1.00から4.00、P=0.007)、および
特異的 皮膚疼痛 関連質問(ボツリヌストキシンに対して中央値-1.00、範囲-2.00から1.00、偽薬に対して中央値0.00、範囲-1.00から0.00、P=0.048)有意差が見られた。ボツリヌストキシンの使用と関連する深刻な有害事象は観察されなかった。
ボツリヌス毒素によって、痛みを抑える効果は確かめられませんでした。しかし、DLQIでの評価は、全体としても、痛みに関係する質問に限っても、ボツリヌス毒素を使ったグループのほうがよくなっていました。深刻な副作用は見られませんでした。
皮膚平滑筋腫を含め、痛みの治療には薬を使う方法のほかさまざまな研究がありますが、通常の治療で効果が得にくい人もいます。ほかの治療に加えて選択肢となりうる治療法が待たれています。
執筆者
Efficacy of Intralesional Botulinum Toxin A for Treatment of Painful Cutaneous Leiomyomas: A Randomized Clinical Trial.
JAMA Dermatol. 2015 Oct 1
[PMID: 26244563]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。