2015.10.24 | ニュース

大腸内視鏡検査は、大腸がん予防の役に立つのか?

ユタ州2万5千人のデータから

from Clinical gastroenterology and hepatology : the official clinical practice journal of the American Gastroenterological Association

大腸内視鏡検査は大腸がんを発見できるだけでなく、ポリープが見つかったときにはポリープを取り除くことで、ポリープから発生するがんを予防できると言われています。アメリカで、大腸内視鏡検査の効果を調べる研究が行われました。

◆大腸がんがある人とない人で、大腸内視鏡検査を受けていたかを比較

研究班は、ユタ州に住む大腸がんの診断を受けた人5,128人のデータを、大腸がんがない人20,512人と比較して、以前に大腸内視鏡検査を受けたかどうかについて解析を行うことで、大腸内視鏡検査によって大腸がんの発生と大腸がんによる死亡を防ぐ効果があるかを調べました。

 

◆発生、死亡ともに減少

次の結果が得られました。

大腸内視鏡検査を受けることは、直腸結腸がんの診断のオッズを減らし、オッズ比はすべての直腸結腸がんについて0.41(95%信頼区間0.38-0.44)、近位結腸がんについて0.58(95%信頼区間0.51-0.65)、遠位結腸および直腸がんについて0.29(95%信頼区間0.25-0.33)だった。

同様に、サブグループ解析において、大腸内視鏡検査は直腸結腸がんによる死亡と(オッズ比0.33、95%信頼区間0.28-0.39)、近位結腸がんについて(オッズ比0.43、95%信頼区間0.34-0.55)、または遠位結腸および直腸がんについて(オッズ比0.23、95%信頼区間0.18-0.30)、死亡のオッズ減少と関連した。

大腸内視鏡検査を受けた人では、大腸がんの発生と、大腸がんによる死亡がともに少なくなっていました。特に、大腸のうち肛門に近い側の部分(遠位結腸と直腸)のがんについて、大きな効果が見られました。

 

大腸内視鏡検査の効果については多くの報告があり、この結果は検査の意義を示す根拠に加わると言えるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Risk of Incident Colorectal Cancer and Death After Colonoscopy: A Population-based Study in Utah.

Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Sep 4 [Epub ahead of print]

[PMID: 26343183]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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