◆イギリスの糖尿病患者52,600人を追跡
研究班は、イギリスで1988年から2013年にかけて行われた追跡調査のデータを使い、糖尿病の患者でグリブリドを含む第2世代スルホニルウレアという種類の治療薬を処方された人52,600人について、グリブリドを使うことでがんの発症率に違いがあるかを統計解析で調べました。
◆グリブリド3年で2割増
次の結果が得られました。
二次的解析において、使用期間と応答、また用量と応答の関係が観察され、すべてのがんの合計リスクの増加と累積使用期間の長さ(36か月を超える使用に対してハザード比1.21、95%信頼区間1.03-1.42)、累積用量の多さ(1,096DDDを超える使用に対してハザード比1.27、95%信頼区間1.06-1.51)が関連した。
グリブリドの使用期間が36か月を超える人で、また累計の使用量が標準的な用量に換算して1,096日分を超える人で、どちらもがんのリスクが2割程度大きくなっていました。
この研究の方法ではグリブリドががんの原因になるとは必ずしも断定できず、糖尿病の長期治療が必要になった背景にがんを増やす要因があった可能性も考えられます。さらに詳しく検証するために、この結果が手掛かりになるかもしれません。
薬を使い続けることで思わぬ副作用などが現れないか、こうした長期間のデータによる検証が行われています。
執筆者
The Use of Glyburide Compared With Other Sulfonylureas and the Risk of Cancer in Patients With Type 2 Diabetes.
Diabetes Care. 2015 Sep 4 [Epub ahead of print]
[PMID: 26341130]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。