◆心不全患者の脂肪酸摂取量と死亡率の関連を検証
中性脂肪の分子は脂肪酸とグリセリンが結合してできています。脂肪酸は、不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸に分類されます。不飽和脂肪酸にはさらに細かい分類の、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸が含まれます。中性脂肪を多く含む食品の中でも、これらのバランスが食品ごとに違います。
今回の研究は、心不全患者のナトリウム摂取量を減らす効果を検証したランダム化比較試験のデータを使って、さらに分析を進めたものです。
慢性心不全患者118人を対象に、3日間の食事記録から、その成分摂取量と1年以内の死亡率の関連性を検証しました。
◆脂肪酸の摂取量が多いと1年以内の死亡率が高い
以下の結果が得られました。
1年死亡率に有意に関連していたものは、多価不飽和脂肪酸(PUFA、一日のエネルギー摂取量に占める割合に対する調整済みハザード比0.67、95%信頼区間0.51-0.86)と飽和脂肪酸(SFA、一日のエネルギー摂取量に占める割合に対する調整済みハザード比1.15、95%信頼区間1.03-1.30)の両方であった。
慢性心不全患者において、多価不飽和脂肪酸の摂取量が少ないとき、または飽和脂肪酸の摂取量が多いときに、1年以内の死亡率が高いという結果でした。
慢性心不全患者の死亡率低下に多価不飽和脂肪酸が関係するかもしれないという研究でしたが、この研究からはそのメカニズムについては言及されていません。今後さらに検証が進み、心不全患者での死亡率を減少することがわかれば、健康的な食事のために非常に重要な要素になるかもしれません。
執筆者
Dietary fatty acids intake and mortality in patients with heart failure.
Nutrition. 2014 Nov-Dec
[PMID: 25280414]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。