2015.10.07 | ニュース

難病・拡張型心筋症の心機能を再生、骨髄細胞移植とG-CSFの効果

60人の第2相ランダム化試験

from European heart journal

難病・拡張型心筋症の心機能を再生、骨髄細胞移植とG-CSFの効果の写真

拡張型心筋症は治療が難しく、心臓が血液を送り出す機能が弱って心臓移植が必要になることもあります。新しい治療法として、骨髄の細胞を移植し、さらにG-CSFという物質で細胞を刺激する方法の研究が行われました。

◆細胞移植+G-CSFの効果を検討

骨髄には間葉系幹細胞と呼ばれる、増殖してさまざまな組織を作る可能性がある細胞が含まれています。いくつかの病気に対して、骨髄の細胞を別の場所に移植することで傷付いた組織を再生させる治療法が研究されています。

この研究では、骨髄の細胞を心臓に移植することに加え、G-CSFの注射で細胞に刺激を与える方法が使われました。G-CSFは体内で作られている物質で、細胞の分化(特定の機能を持った細胞に変わること)を促す作用が知られています。

拡張型心筋症があり、心機能が低下している患者60人が対象となり、食塩水の注射を受けるグループ(対照)、細胞移植を受けるグループ、G-CSFの注射を受けるグループ、細胞移植とG-CSFの両方を使うグループにランダムに分けられ、治療後の心機能などを比較されました。

 

◆心機能改善、QOLも

次の結果が得られました。

3か月時点で、末梢G-CSFと冠動脈内骨髄由来細胞による治療は左室駆出率の5.37%増加と関連し(32.93%±16.46から38.30%±12.97へ、P=0.0138)、その関連は1年まで維持された。この効果はNYHA分類の重症度減少、NT-pro BNPの減少、運動容量とQOLの改善と関連した。

細胞移植とG-CSFを使ったグループで、心機能の改善が見られ、また生活の質などにも改善がありました

研究班は「この研究は、G-CSFと冠動脈内細胞移植療法の新しい組み合わせによって拡張型心筋症の患者に対して心機能、症状、生化学パラメータの改善を示した、最初のランダム化プラセボ対照試験である」と述べています。

 

組織の再生を狙う治療法はさまざまな面から研究されています。ここで示された結果は、拡張型心筋症の新しい治療法を探るうえでひとつの手掛かりになっていくかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Randomized trial of combination cytokine and adult autologous bone marrow progenitor cell administration in patients with non-ischaemic dilated cardiomyopathy: the REGENERATE-DCM clinical trial.

Eur Heart J. 2015 Sep 2 [Epub ahead of print]

[PMID: 26333366]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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