2015.09.30 | ニュース

産科専門の医師と家庭医で、出産の安全性に違いはあるのか?

カナダの出産80万件の解析
from CMAJ : Canadian Medical Association journal = journal de l'Association medicale canadienne
産科専門の医師と家庭医で、出産の安全性に違いはあるのか?の写真
(C) Olesia Bilkei - Fotolia.com

出産にはさまざまなリスクがあり、万一の場合の対処が重要です。しかし、全体としては、専門の産科医でなければ対応できない事態が急に起こることは多くはありません。家庭医による出産と産科医による出産の結果を比べる研究が行われました。

◆カナダの出産80万件のデータから

研究班は、カナダの出産のデータを使って、妊娠20週より後、出生体重500gより大きい799,823人の新生児とその793,053人の母親について、子どもの出生後7日未満の周産期死亡、母親の死亡や出産にともなう問題(合併症)の頻度に、家庭医による出産と産科医による出産で違いがあるかを統計解析により調べました。

 

◆家庭医と産科医で違いがなかった

次の結果が得られました。

ロジスティック回帰によれば、家庭医による出産と産科医による出産で、周産期死亡の相対リスクは0.98(95%信頼区間0.85-1.14)、母体合併症の相対リスクは0.81(95%信頼区間0.70-0.94)だった。操作変数法によると、前者は0.97(95%信頼区間0.58-1.64)、後者は1.13(0.65-1.95)だった。

操作変数法という統計手法で、関連に影響しうる要素を調整して計算したところ、家庭医による出産と産科医による出産で、周産期死亡や母親の合併症の頻度に違いが見られないという結果でした。

研究班は「[...]周産期死亡率と母体の有害帰結について、家庭医による出産と産科医による出産で類似したリスクが観察された」と結論しています。

 

この研究は出産のリスクが高い場合も低い場合も含む全体としての傾向について調べたもので、個別に注意するべき点は出産ごとに違います。特に気を付けるべき要素が見つかっていないとき、大まかな見通しとして参考になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Outcomes of deliveries by family physicians or obstetricians: a population-based cohort study using an instrumental variable.

CMAJ. 2015 Aug 24 [Epub ahead of print]

[PMID: 26303244]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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