2016.01.31 | ニュース
病院以外での出産のリスクは?
2012~13 年の出産データから解析
from The New England journal of medicine

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出産の場所として、病院以外の助産院や自宅を選択される方もいらっしゃいますが、リスクは病院での出産と比べてどうなのでしょうか?米国の研究チームが、予定された出産場所ごとのリスクを解析しました。
◆2012~13 年のオレゴン州での出産データを解析
研究チームは、2012年から2013 年までのオレゴン州の全出生データを使用し、出産を予定していた場所ごとに、リスクや医療処置を調べ、解析しました。
院外での分娩中に病院への搬送が必要になったケースは、病院出産ではなく、院外予定出産としました。
◆死亡のリスクは院内・院外ともに1000件中数件
周産期(生後7日未満)のこどもの死亡率は,院外予定出産のほうが高いという結果でしたが、死亡のリスク自体は院内が1.8/1000・院外が3.9/1000と報告されました。
オレゴン州の院外出産率は日本の2倍以上です。米国では「お金がないので病院に行かない」というケースもありますが、この研究ではこのような点はリスク推定で考慮されていません。また、アメリカは周産期死亡率自体が日本より高いですが、日本でも院外出産の方が危険、というデータはあります。
研究チームは、死亡の絶対リスクはどちらの出産場所でも低いと結論付けていますが、じゅうぶん高いと感じるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
健康で妊娠経過が良好で院外出産を選択された場合でも、はじめから病院での出産を選択された場合でも何が起こるか分からないのが出産です。どこで出産すると計画するにしても、何かあった時に適切な緊急対応ができるのか、リスクとその回避方法を医師に確認して、安心して出産できる場所を計画されることをおすすめします。
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参考文献
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。