2015.09.21 | ニュース

認知症とビタミンD不足の関係とは?エピソード記憶、遂行機能の低下

カリフォルニア大学、382人の追跡
from JAMA neurology
認知症とビタミンD不足の関係とは?エピソード記憶、遂行機能の低下の写真
(C) DOC RABE Media - Fotolia.com

ビタミンDは骨の維持に関わっていますが、認知機能とも関係するという説があります。アメリカのカリフォルニア大学の研究班が、血液中のビタミンDの量と認知機能の変化の関係を、追跡調査によって調べました。

◆382人のビタミンDと認知機能を追跡調査

研究班は、1か所の施設で平均75.5歳の対象者382人について追跡調査を行い、血液中のビタミンDの量と、その後の認知機能の変化を調べました。ビタミンDは測定値によって「欠乏」「不足」「適正」「過剰」の4段階に分け、認知機能は評価基準のうちどの項目が変化したかを分けて検討しました。

 

◆ビタミンD欠乏/不足で認知機能の低下が速い

次の結果が得られました。

登録時の診断として、参加者の17.5%に認知症があり、32.7% に軽度認知機能障害があり、49.5%は認知能力が正常と見られた。25-OHDの値は平均19.2ng/ml(標準偏差11.7ng/ml)であり、参加者の26.2%がビタミンD欠乏、35.1%が不足と見られた。

25-OHDの平均値(標準偏差)は同様に、軽度認知機能障害群と認知能力正常群に比べて認知症群で低かった(認知症群で16.2[9.4]ng/ml、軽度認知機能障害群で20.0[10.3]ng/ml、認知能力正常群で19.7[13.1]ng/ml、P=0.006)。

適正なビタミンD量の参加者に比べて、エピソード記憶と遂行機能の低下率が、年齢、性別、教育、人種、BMI、採血の季節、血管系のリスク、アポリポタンパク質E4の遺伝子型で調整したうえで、ビタミンD欠乏にあった参加者(エピソード記憶についてβ=-0.04、標準誤差0.02、P=0.49、遂行機能についてβ=-0.05、標準誤差0.02、P=0.01)、およびビタミンD不足の参加者(エピソード記憶についてβ=-0.06、標準誤差0.02、P<0.001、遂行機能についてβ=-0.04、標準誤差0.02、P=0.008)で大きかった。

調査開始時に認知症があった人では、軽度認知機能障害または認知機能正常の人に比べて、ビタミンDが少ない傾向が見られました。

また、ビタミンDの量が「欠乏」または「不足」だった人で、「適正」の人よりも速く遂行機能が低下し「不足」の人でエピソード記憶が速く低下しました

 

この結果だけで、ビタミンDが足りないことと認知機能の低下に因果関係があるとは断定できません。

ビタミンDによって分けたグループごとに偏りがあった可能性は十分検討する必要があり、認知機能の低下と関係しそうな要因はいくつか計算に入れられていますが、未知の要因が働いていた可能性は完全には否定できません。

特に、ビタミンDを補充することで認知症予防になるかどうかを知るには別の研究が必要です。

この研究は、認知機能の中でも特にエピソード記憶と遂行機能についての結果が得られたことで、ビタミンDと認知機能が関係するしくみを解き明かす手掛かりになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Vitamin D Status and Rates of Cognitive Decline in a Multiethnic Cohort of Older Adults.

JAMA Neurol. 2015 Sep 14 [Epub ahead of print]

[PMID: 26366714]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

MEDLEYニュース新着記事