インフルエンザが目から感染?予防法は?

インフルエンザに感染したときの治療薬もありますが、感染しないことが大事です。防護グッズとしてマスクなどが流通していますが、本当に効果があるのでしょうか。インフルエンザの防護グッズの有効性を比較した2011年の論文を紹介します。
◆28人を対象に防護グッズによる感染の違いを比較
28人の対象者を6つのグループに分け、各グループで異なる防護グッズを身につけてもらいました。6つのグループの防護グッズは、それぞれ以下のように振り分けました。
- グループ1:防護グッズなしでウイルスを含む空気を触れさせる
- グループ2:目にだけウイルスを含む空気を触れさせる
- グループ3:目を防護せずに、サージカルマスクのみ装着(医療用マスク)
- グループ4:目の防護と、サージカルマスクの装着
- グループ5:目を防護せずに、N95マスクのみ装着(防護能力が特に高い医療用マスク)
- グループ6:目の防護と、N95マスクの着用
対象者に弱毒化したインフルエンザウイルスを含む空気をさらし、防護グッズの違いによって、インフルエンザウイルスの感染のしやすさが変わるかどうか比較をしました。
◆インフルエンザウイルスは目にだけ触れても感染する
調査の結果、以下のことが示されました。
インフルエンザは、グループ1では4人中4人(95%信頼区間:0-0.60)、グループ2では4人中3人(95%信頼区間:0.006-0.806)、グループ3では5人中5人(95%信頼区間:0-0.522)、グループ4では5人中5人(95%信頼区間:0-0.522)、グループ5では5人中3人(95%信頼区間:0.053-0.853)、グループ6では5人中1人(95%信頼区間:0.05-0.72)から検出された。RT-PCRによって、グループ3を除いた全てのグループ間にグループ1との有意差が見られた。
つまりこの調査から、
- 目にだけウイルスを触れさせてもインフルエンザに感染する
- サージカルマスクを装着し、目の防護をしない場合インフルエンザ感染を防ぐことができない
- N95マスクを装着した場合、目の防護をする場合にもしない場合にもインフルエンザウイルスの検出量を少なくする
という結果が得られました。
インフルエンザ予防に関しては、サージカルマスクだけでは効果が見られないという結果でした。インフルエンザが流行する季節には、マスクの装着でインフルエンザウイルスに触れる機会を減らすように、と言われますが、ウイルスの侵入を防ぐよりもむしろ、すでに感染した人が咳やくしゃみの飛沫を広げないのが狙いと考えたほうが良いのかもしれません。
執筆者
Transocular entry of seasonal influenza-attenuated virus aerosols and the efficacy of n95 respirators, surgical masks, and eye protection in humans.
J. Infect. Dis. 2011 Jul 15
[PMID: 21673029]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。