2015.09.09 | ニュース
急性膵炎のあと、抗生物質で感染症による死亡を防げるか?
メタアナリシスにより検証
from The Cochrane database of systematic reviews

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重症の急性膵炎では、細菌に感染することが致命的になる場合があります。感染予防のための抗菌薬の有効性について、『急性膵炎診療ガイドライン2015』で引用されている2006年の論文を紹介します。
◆5つの研究から急性膵炎に対する抗菌薬治療の有効性を検証
今回の研究は、膵
計294名の患者のデータを統合して、抗菌薬治療を行うことで、死亡率が改善したか検証しました。
◆抗菌薬治療により、死亡率が改善
以下の結果が得られました。
分析により、対照群(15.3%)に対して治療群(6%)でオッズ比0.37(95%信頼区間0.17-0.83)
有意 な死亡率の減少が示された。
抗菌薬治療により死亡率は改善するという結果が見られました。
この研究がされた後、さらに検証された結果、予防的な抗菌薬は死亡率を改善するとは言えないという報告もあり、結論は確定していません。
このような結果なども踏まえて、急性膵炎に対する予防的な抗菌薬治療の推奨について『急性膵炎
- 軽症例に対しては、感染性
合併症 の発生率・死亡率は低く、予防的抗菌薬は必要ない。- 重症例や壊死性膵炎に対する予防的抗菌薬投与は、
発症 早期(発症後72時間以内)の投与により生命予後 を改善する可能性がある。
執筆者
参考文献
Antibiotic therapy for prophylaxis against infection of pancreatic necrosis in acute pancreatitis.
Cochrane Database Syst Rev. 2006 Oct 18
[PMID: 17054156]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。