2015.09.02 | ニュース

大腿骨頭壊死の治療に幹細胞は役立つか?自家骨髄細胞移植とコア減圧術の比較

文献のレビューから

from Acta orthopaedica

大腿骨頭壊死の治療に幹細胞は役立つか?自家骨髄細胞移植とコア減圧術の比較の写真

大腿骨頭壊死は原因不明の病気で、股関節にある骨の組織が壊死してしまい、進行すると骨が押し潰されて人工股関節置換術などが必要になります。治療として、自家骨髄細胞移植の効果について、これまでに研究された結果がまとめられました。

◆過去の研究を統合

この研究では、自家骨髄細胞移植とコア減圧術の効果が比較されました。

骨髄には間葉系幹細胞という、分裂して多様な細胞を作る能力を持った幹細胞が含まれているため、患者自身の骨髄を取り出して壊死がある部分に移植する自家骨髄細胞移植は、幹細胞から増殖した細胞が壊れた組織を補うことを期待して行われます。コア減圧術は、大腿骨に穴を開ける手術です。

研究班は、過去の研究から、大腿骨頭壊死の治療として自家骨髄細胞移植の効果を、コア減圧術と比べたものを集め、内容を検証しました。

 

◆コア減圧術よりも効果あり

見つかった7件の研究を統合し、次の結果が得られました。

大腿骨頭の構造不全に対する効果量のプールした推定量は細胞治療群を優位とし、細胞治療群ではコア減圧群と比べて大腿骨頭の崩壊ステージへ進行するオッズは1/5にまで減少した(オッズ比0.2、95%信頼区間0.08-0.6、P=0.02)。

コア減圧術よりも、自家骨髄細胞移植のほうが、大腿骨頭壊死の進行を抑える効果が大きいと見られました。

 

治療の難しい大腿骨頭壊死に対する効果が確かなら、自家骨髄細胞移植が今後の治療に取り込まれていくかもしれません。大腿骨頭壊死の原因の解明とともに、期待がかかります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

The role of "cell therapy" in osteonecrosis of the femoral head.

Acta Orthop. 2015 Jul 29 [Epub ahead of print]

[PMID: 26220203]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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