◆喘息のような症状が現れた子ども
研究班は、新型インフルエンザの患者のうち、「パンデミック型H1N1に感染し、中等度から重度の急性喘息様症状で入院した子ども」を対象として、退院後に喘息ではないことを確かめるメタコリン負荷試験を行いました。
喘息では息をするとゼーゼーと音がする喘鳴という症状が現れますが、普通のインフルエンザの症状としては典型的ではありません。
◆喘息が原因ではなかった
検査から次の結果が得られました。
パンデミック型H1N1に感染し、以前に喘息の診断を受けたことがなかった子どもの70%を超えて、メタコリン負荷試験の陰性反応が見られた。
対象となった子どもは、以前に喘息の診断を受けたことがなければ、70%以上がメタコリン負荷試験陰性であり、喘息ではないと見られました。すなわち、喘息のような症状は喘息によるものではないと見られました。
研究班は「この研究は、パンデミック型H1N1の感染が患者の既往歴に関わらず一過性の喘息様症状を直接引き起こすことを示している」と結論しています。
2009年に流行したタイプのウイルスが、いつまた流行を起こさないとも限りません。インフルエンザと喘息では治療が大きく違うため、取り違えず診断することは重要です。喘息のような症状の頻度など不明な点もありますが、この情報が将来の流行で診断の役に立つこともあるかもしれません。
執筆者
Pandemic influenza virus, pH1N1, induces asthmatic symptoms via activation of innate lymphoid cells.
Pediatr Allergy Immunol. 2015 Aug 19 [Epub ahead of print]
[PMID: 26287507]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。